予備試験を目指した勉強をすることで、法科大学院はすべて学費全額免除で合格できました。

予備試験ルートで司法試験合格

Y.Aさん(23 歳)
 

合格者イラスト
慶應義塾大学法学部卒業

◆ 予備試験合格時 /慶應義塾大学法学部4年在学中
◆ 受 講 講 座 /司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、司法試験演習秋生、司法試験論文マスター、基礎マスター労働法、司法試験対策ゼミなど

※プロフィールは、2013年合格時点のものです。


はじめに

私は漠然と法曹という職業に魅力を感じ、法学部へと進学を決めました。そして学部で受ける法律の授業に強く興味をもち、こんなに面白く奥が深い法律学をツールに仕事をする法曹という職業に改めて魅力を感じ、自分の将来像として具体的にイメージするようになりました。
 まず大学1年目の学部の授業で法律学の基礎を学び、1年の春休みに伊藤塾へ入塾しました。私の大学では法律の受験指導校としては大半が伊藤塾を選んでいたので、あまり迷うことなく私も伊藤塾を選びました。

予備試験を目指した理由と予備試験ルートのメリット

現在司法試験を受験するには予備試験ルートのほかに法科大学院ルートがあり、一応いずれも視野に入れて勉強をする方が多いと思います。
  私も当初、法科大学院への進学をメインに考えており、8月から始まる大学院入試の前哨戦として予備試験を受験しようと考えました。しかし、法科大学院入試との関係でも予備試験の受験は間違いなく正しい選択でした。  まず、予備試験の短答式試験を受験することで5月に短答用知識のインプットがほぼ完成します。これにより、法学既修者試験などで大きなアドバンテージを得ることができます。また、7月末の論文式試験を受験することで、7科目をある程度おさえることができ、商訴・行政法が試験科目とされている大学院入試でもかなり優位にたって受験することができます。
 私も、予備試験の受験を決めたことで5月からかなり忙しく勉強することになりましたが、予備試験はよいペースメーカにもなりましたし、「あの厳しい予備試験論文2日間を乗り越えた」という自信にもつながりました。その勉強は大学院入試にも直結し、東京大学、慶應義塾大学、中央大学、早稲田大学、明治大学の各大学院に合格、私立の法科大学院からは全て全額免除をいただくことができました。
 よって、予備試験を大学在学中に受験することは法科大学院入試との関係でも、大きなメリットがあると感じています。

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得について

私は大学2年になる直前あたりから伊藤塾へ通ったので、1年早く伊藤塾へ通っている友人がたくさんいました。そして彼らはみな、口をそろえて「基礎マスターが大事だ」と言っていたので、基礎マスターの講義は未受講分がたまらないように心がけました。具体的には、テキストをコピーして、コピーに講義で講師の方がおっしゃられたことを殴り書きし、家で復習としてテキストに清書する、という方法によって、自分のテキストを作っていきました。  法律学は全体像をつかめぬまま勉強すると自分が今何を勉強しているのかよくわからなくなってしまうことも多いと思うのですが、基礎マスターはランク付けとともにメリハリを付けた講義となっており、テキストもまとまっているので、今自分が法律全体のどのあたりを学んでいるのかがはっきりとイメージでき、法律学へ足を踏み入れるには有益だったと思います。基本書や判例集などでより掘り下げた勉強ももちろん必要ですが、そのような深い高度な議論を考えるうえで必要不可欠な知識を獲得するためには、まず基礎マスターで全体像を把握することが本当に有益だったと感じています。
 基礎マスターでインプットを終えた後は問題研究で旧司法試験の過去問を何度も解きなおしました。旧司法試験の問題は非常に奥が深く、自分の中で納得した解答を作っても、次に問題を検討するとまた新たな問題意識が出てくる、といった次第でした。生じた問題意識に対して、時には基礎マスターに戻り、時には基本書や判例集をあたり、徹底的に考え抜いたことは、未知の問題への対応力を養うとともに、全く考えたことのない問題意識を減らすという意味でも役に立ったと考えています。ただ、一つの問題に拘泥しすぎてそこから抜け出せなくなってしまうこともあったので、受験生のレベルを考えてある程度で割り切ることも必要だったのではないかと感じています。

具体的な勉強法について

まず短答式試験対策については問題演習と条文の素読を中心としました。問われる知識はほとんどが基礎マスターテキストに記載されているもので、その他の知識は知らなくても答えにたどり着くことができるものがほとんどでした。また、特に商訴は条文の知識をストレートに聞いてくる問題が多いように感じたので、条文をマークして直前期に重要な条文のみを短時間で読めるようにしていました。  論文式試験対策としては、問題研究の演習と自分の論証の確立を柱としていました。実際に答案に表現することを意識して、長さや言い回しまで突き詰めて論証を考えました。そしてただ暗記するのではなく、なぜその理由が必要なのか、問題意識は何なのか、などを徹底して考え、より本質を捉えたものになるように繰り返し論証を作り変えていきました。試験本番では論証の長短を変えなければならないことや、典型的な論点をひねった問題に対応しなければならないこともありましたが、論証作成段階で暗記に頼らずしっかりと考え、悩みぬいたことが結局は近道だったと実感しています。

発展的な勉強について

深く考え、悩み、自分なりの答えを出すには、手持ちの武器として最低限の知識が必要です。その最低限の知識こそが基礎マスターで修得する知識・理解であると思います。発展的・応用的な議論には基礎的理解が必要であり、それをないがしろにした応用的な勉強は高度な議論をしているという自己満足になってしまうでしょう。そして、高度で先端的な議論は面白く、かつ、のめりこみやすく、自己満足に陥りがちなので、そうした勉強をする際は、本当に自分はその基本をわかっているか、そもそもどのような問題意識に基づく議論なのか、といった点を自問するようにしていました。  また、法律学は大変魅力的でわくわくさせられる学問ですが、試験対策として必要でない議論もまた多く存在します(むしろそのような議論こそが魅力的であるとすら感じます)。そのような議論を学ぶことでより深い理解を得られることは間違いありませんし、時にはそれが必要なこともあると思いますが、それを答案に表現できるのか、試験に役立つのか、という視点をもつことも試験対策としては必要なのではないか、と感じました。

直前期と試験当日の対策について

直前期に新たな知識・議論を不完全な形で学んでしまうと、試験中に誤った方向へ議論を進めてしまうかもしれないと考えました。そこで、直前期には気持ちを落ち着かせる意味も含め、今まで使ってきたテキストやノートを繰り返し読んでいました。
試験当日も同じテキスト・ノートを読み、これまでの勉強をふりかえることで自分を落ち着かせていました。

予備試験からの司法試験対策

司法試験といえども求められている基礎の部分は予備試験合格に求められる知識・理解と変わりはないと思います。ただし、司法試験と予備試験とでは出題形式や答案の分量などにおいて差異があり、私も初めて司法試験の過去問を解いたときは驚きました。したがって、これらの点に対応するための対策は、ある程度必要だと思います。
 もっとも、新たに勉強法を変えるなどする必要は全く感じませんでした。あくまで、予備試験に向けての勉強にプラスアルファとして若干の対応が求められる、といったイメージでした。
 私は、ペースメーカー論文答練及び司法試験過去問分析講座(現:司法試験論文マスター)を受講して司法試験の形式の問題を繰り返し解くことで、上記対応がいかなる点に必要か、どのように対応すべきか、を把握しました。これらの講座を利用すれば、上記対応は予備試験の合格発表からの約半年で足りると思います。

最後に 

私は予備試験論文式試験の発表当日まで合格できるとは全く思っていませんでした。あまりに基本的なことしか書くことができなかったからです。基本しか書けなかったということは司法試験でも同じでした。しかし、その答案が評価され、いずれの試験にも合格できたことからすると、やはり試験の合否は基本の部分で決まるのだと思います。
 合格者の誰しもが言う「基本が大事」とは、基本を何度も繰り返すだけでなく、基本を深く考えて勉強するということなのでしょう。私は自分なりに覚えるだけでなく考えることを心がけてきたつもりですが、基本的な論述のなかにそれが現れ、試験委員の先生に評価していただけた気がします。
 私の体験記を読んでくださった方も、基本を深く考え、自分のやっていることを信じ、頑張ってください。