伊藤塾の講座で基礎を修得。これが司法試験合格の原動力になりました。

予備試験ルートで司法試験合格

海沼 智也 さん(27 歳)
 

合格者イラスト
山梨学院大学法科大学院(既修)修了
 
◆ 予備試験合格時 /山梨学院大学法科大学院(既修)3 年在学中
◆ 出 身 大 学 /京都大学経済学部
◆ 受 講 講 座 /司法試験入門講座本科生+ リーガルトレーニング、司法試験既修本科生、司法試験論文マスター、基礎マスター労働法など

※プロフィールは、2013年合格時点のものです。


はじめに

社会に出て2年目に司法試験を受けようと決めました。法学部以外出身でしたが最短で司法試験を受けたいと思い既修者コースを目指しました。翌年の法科大学院入試まで約1年しかなく、短期合格のために受験指導校の利用が不可欠と考えていたところ、「伊藤真の入門シリーズ」(日本評論社)や「試験対策講座・民法」(弘文堂)を読んでわかりやすいと感じ伊藤塾に親しみを覚えたため入塾しました。

予備試験を目指した理由と予備試験ルートのメリット

予備試験は法科大学院の最終学年のときに受験しました。強制的な勉強の機会を確保したいと考えたからです。予備試験で問われた知識は基本的なものが多かったです。ですが司法試験においても、基本的な知識の確かさが合否を左右する最大の要素だと感じました。ですので、予備試験を目指して勉強することは、あらゆる人にとって有効だと思います。
仮に予備試験に不合格だったとしても、そこからは非常に有益な経験や反省材料を得ることができると思います。

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得について

(1)序論
私は法科大学院入学前の約1年間、伊藤塾の入門講座を利用して基礎知識の修得に努めました。この時期にインプットした基礎知識が、司法試験の論文式試験を解くために最も重要だったと実感しています(司法試験において、基礎知識の論述を求められる問題はきわめて多く、しかし適切に論述できる受験生が意外に少なく、基本的な論点を正確かつ適切に論述できるかが合否を分ける大きな要素になっているのではないでしょうか)。
そこで、伊藤塾の入門講座を利用して約1年間のどのように勉強したかを述べたいと思います。この時期の勉強が司法試験合格の原動力になったと思っています。


(2)全体的な学習の流れ
(i)基礎マスターを受講し、基礎マスターテキストを復習する。しかし、インプットの完成度は7割程度でよいものとして、前に進む。
(ii)基礎マスターを1科目分最後まで聴き終わったら、間をおかずその科目の論文マスターを聴く(インターネット受講ですでに大部分の配信が進んでいる講座を受講したので順序は自由に組み立てることができた)。 論文マスターの復習の際には、出題された論点はもちろん、周辺論点についても基礎マスターテキストを読み直し、出題論点及び周辺論点の完璧なインプットを目指す。
(iii)しかし、過去にインプットした知識の記憶はどんどん抜けていくため、7科目分の基礎マスターと論文マスターを聴き終わった後、市販の論点ブックに各論点の論述を集約し、さらに何度も何度も繰り返して網羅性を完成させる。


(3)基礎マスターと論文マスターの関係
基礎マスター段階では完璧を目指さず、論文マスターの終了時までにインプットが完成していればよいと考えました。基礎マスターの段階では論文での論述法がまだ分かっておらず、無駄のないインプットをするのが難しいと感じたからです。実際、論文マスターの予習復習をしながらインプットしていくことが基礎マスターを復習する最良の方法でした。


(4)論文マスターについて
ア、論文マスターを受講すると、論文ではAランク知識の出題が圧倒的に多く、論述も短い理由付けと規範だけで足りると感じました。これに気づいてからの方がインプットのメリハリ、効率が格段に上がりました。基礎マスターだけでインプットを完成しようとすると苦しいので、未完成でも論文マスターに進み、論文マスターを利用してインプットしていくことをおすすめします。
イ、論文マスターは呉講師を受講しました。呉講師に巡り合えたことは本当に幸運でした。呉講師は絶対に覚えなければならない箇所に絞って短くマーク指定してくれるため、復習時に記憶が非常に定着しやすく最高の講義でした。
ウ、私にとって、論文マスターも半分はインプットでした。論文マスターで出題された知識は復習で確実にインプットしました。受講日と翌日に連続して復習することが記憶の定着に効果的でした。
また、論文マスターで出題されなかった重要論点も網羅しなければならないので、該当分野の基礎マスターテキストを読み、周辺論点もインプットしました。


(5)基礎マスター、論文マスター終了後
基礎マスターと論文マスターが一通り終わった後、法科大学院入試までに残された期間は約3ヶ月でした。基礎マスターと論文マスターの間に一度はインプットした知識も、この時期にはかなりの部分が抜け落ちていました。そのままでは論文試験を戦えないことは明白なので、市販の論点ブックに一度は覚えた論文知識を集約化して、それを何度も何度も繰り返しました。この方法で論文知識だけを素早く確認することができるようになり、インプットの網羅性が飛躍的に向上しました。

短答式試験対策について

法科大学院の合格が決まった後に対策を開始しました。


(1)民法、民訴、刑訴、行政法 
岡崎講師の短答マスターで対策しました。岡崎講師は司法試験の短答試験の出題傾向を非常によく把握しておられ、試験に出るポイントを的確に指摘してくださいます。
もっとも、短答マスターを聴いただけで放置してしまえば短答の点は伸びないと思います。労を惜しまず、復習(条文を読み直し、肢別本を解く)は真面目に行いました。


(2)商法
自分で会社法の条文を読み、肢別本を解きました。会社法の条文を読むのは苦しい作業ですが、論文対策としても役に立ちました。


(3)刑法
論文の勉強がそのまま短答の得点につながります。論文対策を中心にして、短答の勉強は過去問を解いて出題形式に慣れつつ、刑罰、罪数、細かい構成要件をつぶせばよいと思います。


(4)憲法
人権は判例問題が多く、有名判例について正確な知識を問う傾向が強かったため、「伊藤真の判例シリーズ」(弘文堂)を読みました。統治は短答マスターを聴き、条文と問題集で復習しました。

論文式試験対策について

司法試験の論文式試験は、基本的な論点をくまなく出題する試験であり、基礎マスター、論文マスターの知識で問題なく解答できます。もっとも、基本的な論点ならば全論点に出題可能性があり、基本論点の準備不足は答案上で必ず露見し大きく点数を失います。
つまり、絶対合格したいと思うならば、全ての基礎知識の論述について一分の隙もない盤石の網羅性を準備しておく必要があります。
私は基礎知識の網羅性を重視して、法科大学院入学後も基礎マスター・論文マスターの知識を反復し続けたことが良い結果につながったと思います。

直前期と試験当日の対策について

基礎知識、重要論点の論述を何度も何度も反復して盤石なものにすることに専念していました。試験期間中も、翌日の科目の論述が不安な箇所を確認していました。

予備試験からの司法試験対策

知識の網羅性を劣化させず、維持することはもちろん重要です。
ただし、司法試験は予備試験に比べて問題文が長く、事務処理量が多く、時間の制約が厳しいため、試験時間を有効適切に使えたか否かが結果に大きく反映します。
予備試験を合格された方は、司法試験の問題を2時間の中で過不足なく書き切るトレーニングが重要だと思います。新司法試験の過去問を2時間で解き、出題趣旨・採点実感・優秀答案を読み、自己添削する作業が最優先だと考えます。毎回解く際に、時間配分や論述量に細心の注意を払い、リスク管理を体に叩き込むことが必要です(特に、序盤に文量を書きすぎて後半に時間が割けなくなる事態は、受験生によく起こりがちなだけに、これを確実に回避できるようになるだけでも、相対的にみてかなり有利です)。

伊藤塾のゼミについて 

基礎マスター対応ゼミを受講しました。
ゼミ長に論文の書き方を教わることができ、非常に有効でした。

予備試験からの就職活動 

情報が重要なので、司法試験後すぐ、アットリーガルに登録するとよいです。
興味のある事務所には積極的にエントリーシートを提出しましょう。数を多く打つことも非常に重要な要素だと思います。

最後に 

司法試験の論文式試験は、全てのA・B+ランクの知識を短く正確に書けるよう準備をして臨めたかどうかが合否を大きく分けると思います。しかし、A・B+ランク知識だけでも8科目トータルでは膨大な量になります。ですので、基礎知識の網羅性が欠けていないかについて常に危機意識を持ち、何度も何度も反復していただければと思います。