基礎マスターには最後までお世話になりました。

予備試験ルートで司法試験合格

Y.I さん
 

合格者イラスト
京都大学法科大学院(既修)修了
 
◆ 出 身 大 学 /京都大学法学部
◆ 受 講 講 座 /司法試験入門講座本科生、司法試験既修本科生など


※プロフィールは、2013年合格時点のものです。

はじめに

私はもともと中学校時代に体験学習で裁判を傍聴する機会があったことから、法律家に興味を持ち、大学は法学部に入学しました。そして、社会を少しずつ知っていくうえで、やはり一般社会では法律を知らない人が泣き寝入りしている実態をより深く知り、自身がその助けとなるような仕事をすることができればと思い、法律家を志望することを決意しました。
偶然伊藤塾の存在を知り、入塾したのは三回生の時でした。法科大学院入試対策で基礎マスターを受講していたのですが、大学の法律の授業がどこかつかみどころのない印象であったのに比べ、覚えるべき範囲及び内容が明確であり、ともすれば何をすべきかわからなかった自分にとっては道しるべとなりました。

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得について

私たちは誰もが、当初何の法律知識もない状態でスタートすることになります。その時何から学びはじめるかといえば、当然ながら基礎的な法知識であるわけです。基礎知識は階段を昇りはじめる第一歩であり、まずはこれを覚えてその背景を理解していなければ、スタートラインにすら立っていないに等しいことになります。
伊藤塾の基礎マスターテキストは、重要な情報の多くが整理された状態で記載されています。まずはこれを読み、基礎を固めることが非常に大切になってくると思います。ちょうど九九が全ての計算の根本になることと同様で、まずは土台をしっかりと築く必要があります。
もちろん、単に基礎マスターテキストだけを眺めているに留まるのではなく、基本書であったり学部の講義ノートなどと併用するのが効果的です。基礎マスターの内容を暗記しておくことは必要不可欠なステップなのですが、暗記したというだけでは司法試験はおろか法科大学院入試に耐えうるだけの力がつくわけではありません。基本書などを通じてある程度内容についての理解をしなければ、真に記憶が頭の中に定着することはありません。
法科大学院に入ると、授業では基本的にそれまでに修得した法知識を用いて発展的な学習をすることになります。要件事実に触れたり、高度な判例・学説などに頻繁に接したりすることになるなど、ついつい背伸びしがちになってしまう部分もありますが、ここでも基礎マスターや基本書、基本的奈判例を活用して、地に足のついた学習をすることが重要です。法科大学院での学習を通じて、学部時代には理解していなかったことがようやく理解できた、という場面もあろうかと思います。そのことを考えれば、基礎マスターには最後までお世話になるという表現が適切かと思います。
司法試験で出題される問題を解くうえで必要な知識の多くは基礎マスターに記載されている内容です。これに加えて多くの受験生が使用するような著名なテキストなどで適宜補強すれば、司法試験に合格するに足りる知識は十分に修得することができます。逆に、それ以上高度な知識を要する問題が出題されたとしても、周囲の受験生も解けないため、結局は差がつかず、合否に影響しません。周囲を過小評価することも過大評価することもなく、自身の知識の穴を埋めていく勉強が必要とされています。

短答式試験対策について

短答式試験は七教科にわたり膨大な知識量が要求されます。いわゆる「足切り」の恐怖に脅えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
結論としては、短答対策は年明けから開始しても短答合格者平均を上回るレベルにまで到達することは可能です。その点は心配しすぎる必要はないのですが、ただ、早めに対策をとっておくことに越したことはありません。
対策法はやはり過去問(それから適宜問題集など)を何度も繰り返し解くことです。とにかく何度も解いて、血肉となるようにする必要があると思います。
もちろんいわゆる択一プロパーもありますが、論文にも何かしら役立つ点が大半なので、意識して勉強することをおすすめします。

直前期と試験当日の対策について

知識面については、できるだけ穴をなくすべく、基礎知識の見直しが必要です。この際、たとえ知識に穴があったとしても落ち込む必要はありません。膨大な知識量を完全に把握するのは不可能であって、必要なのは埋めようとする姿勢です。
また、添削されてかえってきた答案(特に、成績が合格ラインを超えたもの)についても何度も見直して、自身の「いい形」をつかんでおくことも大切です。野球選手が自身のいい時のフォームを確認する作業と同じです。

伊藤塾の受講スタイルとフォロー制度について 

私の場合、主に大学・法科大学院を拠点に勉強していたので、講義などはインターネットフォローを利用して自宅で聴いていました。インターネットでは何度も繰り返し聴くことができたり、再生速度を速めることも可能なので、効率よく勉強することができると思います。

法科大学院での受験対策について 

法科大学院における授業は、司法試験での論文式試験には対応していないように思います。アウトプットの訓練は自学自習を余儀なくされるのであって、論文答練は司法試験受験のために不可欠と言って差し支えありません。

学習モチベーションの維持・向上について 

司法試験に合格するために猛勉強は不可欠なのですが、気分転換の時間は必ず必要です。
もちろん気分転換をし過ぎると合格するはずはないのですが、逆に気分転換の時間を削り過ぎて根を詰め過ぎてしまった方が思うような実力が出せなかった例も目立ったように思いました。試験本番において自信満々で臨める人はわずかです。そんな中で、適切な気分転換をできた人が本番もある程度リラックスして臨めるものと考えます。

合格後に必要なこと 

世の中のためになることをするという高い志を持っていても、いつしか初心を忘れてしまいがちです。そんな中で、伊藤塾でしばしば言われる「憲法の理念を体現できる法曹に」ということは、志を維持するうえで胸に留めておきたいことです。

最後に 

私は、司法試験は努力がそのまま報われる試験ではないと思います。確かに自ら努力を尽くしたことは事実ですが、やはり合格は周囲からの恵み・幸運の賜物だと思っています。その気持ちを忘れず、周囲に尊敬される人となれるよう研鑽を積みたいと考えています。