基礎マスターの理解が最も重要。また伊藤塾の演習は出題予想でも有益でした。

\ 予備試験ルートで司法試験合格 /
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A.Aさん:東京大学法学部卒業
◆ 予備試験合格時 /東京大学法学部4年 

受講講座
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、司法試験論文過去問マスター、司法試験演習秋生など

※プロフィールは、2020年度合格時点のものです。

はじめに

もともと困っている人を助けるような仕事をしたいと漠然と考えていました。高校生の頃、大学では好きな学問を学びたいと思い、法学に興味があったことから法学部に進学しました。大学では、法学という学問に惹かれるとともに、法律を使う仕事を生涯したいと強く感じるようになり、法律家になりたいという思いが一層強くなりました。大学に合格した直後の3月に伊藤塾の存在を知りました。当初は大学受験で疲れていたこともあり大学では少し遊ぼう、2年生か3年生になってから予備試験の勉強を始めようと考えていました。しかし、伊藤塾の講義は大学生活に忙しくても自分のペースで進められると知り、とりあえず入塾して自分のペースに合わせて進めていこうと思い1年生の5月に入塾しました。伊藤塾は予備試験の合格率が高く、周りの友人も伊藤塾に通っていたため、伊藤塾に決めました。

私の勉強法

〈基礎学習について〉

他の学問も同様だと思いますが、法学において基礎の理解は非常に大事だと実感しました。その点で、伊藤塾の講義では基礎マスターの理解が最も重要だと思います。どんなに論述の技術を磨いたり発展内容を学習したりしても、基礎ができていなければ試験の考査委員にはバレてしまいます。基礎マスターのテキストは詳しく書かれている分、重要性の低いものも含まれていますが、講義ではランク付けがなされたり、短答式試験特有の知識の指定がなされたりするので、メリハリをつけて学習することができました。最初はAランク以上の内容を中心に復習し、最終的にはBランク以上の内容は確実に理解し、定義や趣旨はすぐに言えるようにしました。基礎マスター学習時はまだ法律の理解が十分でなく、完全に理解できないことも多いので、法律の勉強が嫌になったりスランプに陥ったりする人も多いと思います。しかし、法律の勉強では全体を学習して初めて理解できることも多いので、よくわからないところがあっても過度に立ち止まることなく先に進み、とりあえず7科目を一周することが大切だと思います。
初めての論文では、何をどのように書けばよいのかがいまいちわからず苦労しました。これはとにかく一問でも多く実際に書くしか方法はないと思うので、論文マスターでは答案をできるだけ作成した方がよいです。私も、論文マスターでは全ての問題で少なくとも答案構成はするように努めました。また、私は基礎マスターの理解に不安がある内に論文は書けないだろうと考え、論文マスターの開始が遅れてしまいました。ただ論文の問題を解いている内に理解が深まることもあるので、基礎マスターが受講し終われば直ちに論文マスターに進むべきだと思います。論文マスターを受講しながら理解の不十分なところをテキストで確認していれば問題はありません。私は、論文マスターで勉強した内容を論文ナビゲートテキストに書き込み、その後の勉強で得た情報も全てそこに一元化していました。これは、試験の直前に使用するテキストをなるべく少なくして効率的に復習することができるようにするためです。論文ナビゲートテキストは趣旨や判例の規範、理由付けが簡潔に記載されているため、自分用のテキストを作るための素材として最適だと思います。 

法科大学院での学習について

〈法科大学院別対策講座を受講して〉

東京大学法科大学院の対策として、法科大学院別の過去問分析講義と模試を受講しました。講座では過去問3年分の解説を聴くことができます。東京大学法科大学院の入試問題は難問が多いため、テキストに掲載されている合格者の再現答案を見て、現実の合格ラインを知ることができました。また、東京大学法科大学院の入試の回答用紙は、予備試験や司法試験と違いマス目になっています。そのため、予備試験や司法試験の対策のみをやって入試に臨むと、簡単に字数を超えてしまうことになるため、模試では、小問ごとの分量の調整や、趣旨や規範の理由付けを短く書く練習をすることができ、非常に役に立ちました。

予備試験を目指した理由

早く実務に出て経験を積むことができるのが何よりの理由です。また、法科大学院に通うためには多額の学費が必要となるため、その分のお金を将来の留学などの費用に回すことができます。加えて、学部のうちに予備試験に合格してしまえば、司法試験を受けて直ちに実務に出るか法科大学院に進んでやりたい勉強をするかを選ぶことができ、将来の選択肢が増えます。予備試験は合格率が低いですが、勉強内容の多くが法科大学院入試や司法試験と共通します。なので、たとえ受験に失敗したとしても決して無駄にはならず、予備試験ルートを目指すメリットは大きいと思います。先述のように、確かに予備試験対策の勉強は司法試験に非常に有益ですが、司法試験では問題文や試験時間が長く、書く分量も多いという形式的な違いがある他、求められている答案の内容も異なります。予備試験合格後は、司法試験に向けた対策を進めなければいけません。

〈コンプリート論文答練を受講して〉

私が受講した当時の論文マスターは、旧司法試験の過去問が中心であったため、論文問題の基礎は学習することができますが予備試験形式の対策はすることができません。また、予備試験はまだ10年ほどしか行われていない上に初期は今と傾向が少し異なるため、過去問の蓄積が少なく過去問演習だけでは対策が十分とは言えないと思います。コンプリート論文答練は近年の予備試験形式の問題が出題されるため、予備試験対策を十分に行うことができます。また、例えば生存権や学習権など予備試験では今まで出題されたことのない分野についての問題もあったため、過去問演習だけではすることのできない対策もすることができました。

〈予備試験論文過去問マスター・論文過去問答練を受講して〉

予備試験や司法試験の論文式試験において、過去問演習は非常に重要です。特に予備試験は10年分ほどしか過去問の蓄積がないため、過去問は大切に扱わなければいけません。予備試験論文過去問マスターでは、予備試験の過去問について丁寧にわかりやすく解説していただけるため、過去問演習を効率的に行うことができます。また、テキストには塾のオリジナル答案の他に、合格者の再現答案も掲載されています。予備試験の論文式試験では答案を完璧に書き上げることは難しいため、合格者の再現答案を用いた解説を通じて現実的な合格答案のレベルを把握することができる予備試験論文過去問マスターは非常に有益でした。

〈短答答練・全国公開短答模試を受講して〉

予備試験の論文式試験は2日間で基本法律科目と法律実務科目、一般教養の答案を書き上げるため、思っている以上に疲れます。当日は試験の何時間前に起きておくのか、直前にはどの教材を使ってどの科目の勉強をするのかなど、本番と同様の日程と時間で模試を受けることで、本番をシュミレーションすることができます。また、模試で出た問題に近いものが本番に出た場合には非常に有利になります。実際に、私の受けた年では政教分離を題材にした問題が模試に出され、本番でも政教分離の問題が出されました。伊藤塾の模試は出題予想をすることができる点においても有益だと思います。

〈その他の講座を受講して〉

予備試験の論文式試験に合格した後、口述模試を受験しました。伊藤塾の実施する口述模試の特徴として、再現度が高いことが挙げられます。試験内容の質が高いことはもちろん、形式面でも試験官とのやりとりや距離感は本試験と近いものがあります。入室や退室の際の所作も練習することができ、本番では試験の内容にだけ集中することができました。また、試験官が2人いたのも有難かったです。口述式試験では副査の反応を見ることも大事だと思うので、その練習ができたのは大きかったです。本番の口述式試験では思っている以上に緊張します。再現度の高い口述模試を経験しておくことでその緊張を少しでも軽減することができたと感じています。

司法試験に向けた学習について

〈ペースメーカー論文答練を受講して〉

司法試験では、今まで考えたことのないような未知の問題が出題されます。ペースメーカー論文答練で出される問題は、有名な判例を題材にしたものは少なく、司法試験のように未知の問題から出題されることが非常に多いです。そのため、問題文を読んでそこから法的論点を抽出し、その結論を自分でその場で考える練習を積むことができました。また、予備試験受験時には選択科目の論文式試験対策を当然していないため、選択科目の答案を作成する練習が不足しがちです。ペースメーカー論文答練では選択科目の問題も用意されているため、その練習もすることができます。

〈司法試験論文過去問マスターを受講して〉

司法試験論文過去問マスターには、出題趣旨や採点実感を踏まえた完璧な答案である塾のオリジナル答案の他に、再現答案が掲載されています。2時間という短い試験時間で、考査委員の要求に全て応えた答案を書くことは不可能ですし合格のためには不要ですので、合格者の再現答案を通じて現実の合格答案のレベルを知ることができたのは非常に有益でした。また、テキストには出題趣旨や採点実感も掲載されています。講義ではその中で重要な部分を抽出してマークの指示をしていただけますし、塾答案や再現答案を読む中でそれらに言及していただけます。近年の出題趣旨や採点実感は非常に長いので、効率的に考査委員のメッセージを理解することができました。

〈短答式全国実力確認テストや全国統一模試を受講して〉

私は全国統一模試を自宅で受験しました。その際注意したのは、本番と同じ日程と時間で解いたことです。司法試験は5日間という長丁場ですし、論文式試験では答案を何十枚も書くことになります。本番と同じ条件で模試を受けることで、自分の体、特に利き手の疲労具合を把握することができました。また、試験期間の間の時間にはどの程度の勉強ができるのか、どの教材を直前に見ればいいのかをシュミレーションすることで、本番を安心して迎えることができました。加えて、問題の質も良かったので自分の今までの成果を確認する良い機会にもなりました。科目ごとの自分の順位など詳しい成績表も見ることができるので、本番前に受けて良かったと思っています。

〈その他の講座を受講して〉

私は、最新判例講義を受講しました。司法試験の過去問演習を進めている中で、比較的新しい判例も題材になっていることがあると分かったためです。最新判例講義では、各年度の重要判例解説に掲載されている判例をランク付けし、重要なものについて解説してもらえます。司法試験の問題では、題材となった判例を知らなくてもその場で考えればなんとか解けるものも多いですが、判例を知っていればすぐに法的論点や裁判所の立場を想起することができ有利になると思います。優先順位は必ずしも高くはありませんが、司法試験の過去問演習が一段落した段階で受講しました。

〈司法試験対策に必要となる勉強について〉

判例を読む際には、「この事案が試験で問われたら自分ならどうやって答案を書くかな」と考えていました。また、判例の事案のうちどの事実が結論の決め手になったのか、どの事実が違ったら結論が変わり得たのかを考えるようにしていました。司法試験の問題は判例の射程を問うものが多いので、このような学習方法は有効でした。さらに、条文は逐一見るように努めていました。学習が進むとどうしても条文を離れて議論をしがちなように感じるのですが、この論点はこの条文のこの文言の解釈についての議論だと頭に入れながら勉強しました。一方で、過去問演習の開始が遅れ、あまり学習に時間を割くことができませんでした。過去問演習は非常に大事ですので、過去問は敷居が高いように(少なくとも私は)感じますが、もう少し気を楽にして早めに始めておけばよかったと後悔しています。

おわりに

周りに伊藤塾に通っている友人がいたため、予備試験や司法試験に向けた学習を進めるうえでのモチベーションになりましたし、試験や就活の情報を共有することもできました。また、特に法律実務基礎科目では実務的なお話も聴くことができたため、将来の理想の法律家像を思い浮かべることもでき、これも勉強を続けるうえでのモチベーションになりました。私が司法試験に集中できるように様々なサポートをしてくれた家族、講師の方々、一緒に試験に向けて頑張ってきた友人には大変感謝しています。今後も自身の能力を向上させることはもちろん、常に依頼者に寄り添う法律家になりたいと考えています。


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予備試験と司法試験の受験時に使用していた六法