あてはめを重視することの大切さ、そして基礎となる知識・典型論点のマスターは決して簡単でないことを学べた

\ 予備試験ルートで司法試験合格 /
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N.Nさん:東京大学法科大学院(既修)3年
◆ 予備試験合格時 /東京大学法科大学院(既修)2年
◆ 出 身 大 学 /一橋大学法学部卒業

受講講座
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング
司法試験論文過去問マスター
司法試験演習秋生など

※プロフィールは、2020年度合格時点のものです。

はじめに

2017年7月に入塾しました。司法試験を志望した理由は、弁護士として社会のために働くことに魅力を感じたからです。また、講義内容の丁寧さ、大学のゼミの友人が伊藤塾に入塾していたこともあり、複数の受験指導校がある中で伊藤塾を選びました。入塾時の法律知識は、大学で授業をとっているものについてのみ少し理解している程度で、論文の書き方、論点の捉え方など何もわからない状況でした。

私の勉強法

〈基礎学習について〉

1年目は基礎マスターを1周して、短答答練を受け、友人と論文マスターの問題を2日に1回出し合うということを繰り返していました。最初はインプットばかり頑張っていましたが、いざ論文を書こうとなったときに、どう書けばいいのかわからないという事態に陥りました。友人に見てもらったり、添削してもらう中で、論証パターンでは重要なフレーズやロジック(原則例外、歯止めなど)だけ押さえて、あてはめを重視することの大切さを少しずつ理解しました。
1年目は、短答が最初の難関だと思います。最初に受けた短答答練では75/210点という厳しい点数を取ってしまい、間に合うのかと焦りましたが、2006-2014年の過去問の間違ったところを中心に理由を含めて押さえることで、徐々に手応えをつかんでいきました。本番では、270点満点中169点で短答を突破できました。しかし、論文問題について時間を計ってやることを怠っていたため、時間内に解き終わらないことばかりで、論文式試験で落ちてしまいました。
2年目は、論文マスターのAランク問題について、規範は簡潔に書けるように心がけました。1年目であてはめの重要性は理解できたので、あてはめの仕方に注意して勉強していました。また、1回解いただけでは忘れてしまう問題が多かったので、Aランク問題を中心に繰り返しやることを意識しました。繰り返して勉強する際に注意したこととして、忘れた頃に解き直すことが挙げられます。1週間後、1ヶ月後にそれぞれ1回ずつ復習することで、あてはめ部分をも長期記憶にすることができるようになりました。

予備試験を目指した理由

予備試験を目指したのは、早期に弁護士の仕事に携わりたいと思ったからです。予備試験ルートのメリットは、制限時間内にマストで書かなければならないことを取捨選択して答案に落とし込む能力を得ることができる点にあると思います。これは、司法試験受験においてもすごく重要な能力だと思います。

〈コンプリート論文答練を受講して〉

コンプリート論文答練はあてはめが充実しており、優秀答案から学ぶことも多く、大変有意義でした。予備試験に1回落ちた時点で論文マスターの問題を1周以上していた僕にとっては、経験を積む最良の教材であり、予備試験合格に不可欠なものでした。論文マスターよりもさらに丁寧な解答が多いと思います。また、各論点について理解を深めるための解説が付随しているので、正確なインプットと無駄のないアウトプットが同時にできる教材だと思います。

〈予備試験短答答練・全国公開短答模試を受講して〉

予備試験論文マスターでは、典型論点を中心に具体的事情を駆使して答案を作成する力を養うことができました。論文マスターはどうしても場合分けが必要になりますが、予備試験の過去問マスターでは、ほとんどそのようなことはありません。規範定立で悩んでいる時間を減らして、あてはめを充実しなければ高評価は得られないことを学びました。

司法試験に向けた学習について

ペースメーカー論文答練は、予備試験本番と遜色ないような問題が多く、典型論点をより深く理解することができるようになったと思います。典型論点をより深く理解するとは、判例とは少し違う事情があった場合に結論は同じになるかどうかや、その他あてはめの考慮要素などといったものです。また、優秀答案を見ることができ、特に憲法では模範解答とは違ったクレバーな答案を見ることができたことで、「答案は型にはめすぎず、その問題の中心になる事情を厚く書くことで全体の流れをまとまったものにするということ」を意識するようになりました。

〈司法試験論文過去問マスターを受講して〉

過去問マスターは2月時点で最新から遡って2013年までやってしまっていたので、それ以降は2006年までを追加購入し、友達と添削会を行っていました。教材が比較的重層なので、より過去に出題されたかつ全然書けなかった問題を中心に、復習をしていました。法務省の出題趣旨は、点数が取れる答案を作成するにあたり、有意義ではありますが、理想と現実にはギャップがあることを講義を通じて確認することができ、落ちない答案を作成することを意識しようと思うようになりました。

〈短答式全国実力確認テストや全国統一模試を受講して〉

短答式のテストについては、民法改正の部分が不安だったため、民法を中心に復習をしていました。民法と刑法は時間が足りなくなることもあったので、時間を意識してマークすることを意識しました。本番では、刑法が時間切れで1問落としてしまうハプニングもありましたが、民法では過去最高の得点を取ることができました。
全国統一模試は点数が低かった科目を中心に復習しました。出来がよかった科目については自信を持つこと、出来が悪かった科目については本番で出なくてよかったという気持ちを持つことで、必要以上に不安にならずに済みました。

 〈その他の講座を受講して〉

岡崎講師の司法試験合格答案徹底分析講義です。「その問題の肝心な部分は何か?」という意識が薄かった僕に、大きな影響を与えたと思います。膨大な判例を全部覚えるのは至難の業ですので、講師がこの表現は光るとおっしゃった部分に着目し、同じような表現ができるようになることを意識しました。考慮要素を提示する時間は省いて、あてはめを読めばわかるように書けばそれで足りるのだと学んだことは、答案作成時間の短縮につながりました。

〈司法試験対策に必要となる勉強について〉

法律の勉強の開始から司法試験受験までは1年以上かかる長い戦いなので、計画性が重要になると思います。論文知識の吸収を優先し、短答プロパーを短答式試験の3ヶ月前からやるという勉強法をとっていましたが、できれば、短答プロパーも日々の論文知識の吸収の合間に少ししておくとよかったと思います。とくに行政法は、判例の事案そっくりの論文式試験も出題されるので、こんな判例短答でしか出ないよと思わずに判例の事案と要点を押さえておくことが必要だと思いました。

おわりに

伊藤塾では法律の素養を身に付けることができましたし、基礎となる法律知識・典型論点は決して簡単ではないということを認識できました。また、一緒に勉強する友達を見つけることもできました。私は、実務で未知の論点に出会ったときに、原則は何であるかを意識して、「その原則を貫くことで問題は生じないか?」という柔軟な視点を持った弁護士になりたいと思います。