伊藤塾は司法試験受験指導校というよりは、厳然たる「法律家養成学校」だと思います。

\ 予備試験ルートで司法試験合格 /
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B.Lさん:国立大学法科大学院(既修)3年
◆ 予備試験合格時 /京都大学法科大学院(既修)2年
◆ 出 身 大 学 /国立大学法学部卒業

受講講座
完全マスター、論文マスター、司法試験論文過去問マスター、司法試験演習秋生など

※プロフィールは、2020年度合格時点のものです。

はじめに

私が司法試験を目指した理由は、大学で法学部に在籍しており(もともとは政治学を中心に勉強するつもりでした)、定期試験などでせっかく一生懸命法律の勉強をしたので、何かその勉強が生きる職業に就きたいと思ったこと、実際に法学と政治学の授業を受けてみて、法学の授業の方が面白かったことなどが挙げられます。伊藤塾に入塾したのは大学4回生の5月頃だったと思います。法科大学院入試に向けて勉強を黙々としていたのですが、授業の復習や、市販の(学者執筆の)演習書による学習に効率の悪さを感じ、他にもいろいろとやりたいこともあったので、もっと効率的に勉強ができないかと考えた結果、受験指導校を使うことを決めました。法科大学院入試に向けた勉強で、呉講師の基礎本シリーズを愛読していたため、受験指導校を利用すると決めた時点で、受講するのは伊藤塾の中の呉クラスに即決しました。

私の勉強法

〈基礎学習について〉

知識のインプット段階(私の場合は、学部2年~3年の段階)では、伊藤塾は利用していませんでしたので、呉講師の基礎本が出版されている科目については繰り返し基礎本を読んでいましたが、基礎本がない科目については大学の授業を聞いて、メモを取ったレジュメを中心に勉強していました。基礎本については、各種試験の合格に必要な知識だけがコンパクトに凝縮されており、まさに合格への最短ルートを描いたような教材だと思うので、繰り返しそれを読んで知識の修得に努めていました。基礎本は、本文も答案のような形式で文章が書かれており、巻末に実践的な論証カードもついているので、インプット作業がそのままアウトプットの訓練にもなっていたと思います。一方で、基礎本がない科目の勉強は苦労しました。教授のレジュメだけでは知識に過不足がありますし、市販の教科書を読もうにもやはり初学者の段階ではメリハリをつけて読めるわけではありません。効率悪く、しかもグラグラの中途半端な基礎を作るくらいなら、最初から伊藤塾に通って必要な知識だけを効率よく教わっておけばよかったと思います。
 
アウトプットに関しては、伊藤塾の教材を全面に利用しました。会社法と民訴法に関しては、呉講師の完全マスターを受講していたので、インプットと同時にアウトプットも一気にやってしまいました。そのほかの科目は、秋島講師の「演習書で学ぶ司法試験合格答案」を受講しました。具体的な勉強方法は、とにかく何度も問題を解くことでした。伊藤塾が用意してくれた教材と講義をもとに勉強していれば絶対に間違いないので、それを信じて何度も何度も、問題を見れば回答の流れや論点やそれについての論証が空でも言えるくらいにまでやりこみました。他の余計な演習書には一切手を出していません。せっかく高いお金を出して伊藤塾でしか手に入れられない教材を手にしているのだから、まずはそれをマスターしなければお金を出している意味がありませんし、しかも勉強としてはそれで十分だと思います。伊藤塾の講義や教材のクオリティーを信じて、伊藤塾と心中するくらいの覚悟を持つのが大事だと思います。  

予備試験を目指した理由

僕が予備試験ルートを目指した一番の理由は早く社会に出られるからです。法科大学院ルートでは現役で大学に入っていて、一発で司法試験に受かっても、その時点でもう25になる年です。これはさすがに遅すぎる気はします。果たして大学入学してから司法試験に受かるまで本当に7年も必要なのかというのは疑問です。また、合格してみて自分が一番大きなメリットとして痛感しているのは、若くして予備試験に合格することで一発逆転エリートコースの人生が待っているということです。就活でも、特に東京界隈では予備試験合格者は特別な待遇を受けます。司法試験に向けての勉強は、過去問を解き始めたのと、選択科目の勉強を始めたこと以外は、特に新しいことはしていません。予備試験に合格強いている時点で自分の実力は証明されていると思いますので、あとは司法試験という形式に慣れておけば、十分司法試験に合格できるのではないかと思います。

司法試験に向けた学習について

〈司法試験論文過去問マスターを受講して〉

司法試験の勉強において一番大事なのは過去問研究だと思います。もっとも、自分で過去問を解いているだけでは、その問題から何を学び取るべきなのか、出題者が期待した(理想の)答案はどのようなものなのか、何書けるべきで何は書けなくてもよいのかなどを研究することは困難です。伊藤塾の過去問マスターは、これらの要素が全て洗練された形で受講生に伝授されるようになっており、本当に勉強になりました。その問題から学ぶべきことや、現実的な答案の筋を教えてもらえるので、復習の時もそのようなポイントだけさらって勉強することで、効率よく、必要な量だけの実力をつけることができたと思います。 

〈その他の講座を受講して〉 

論文式試験対策は、秋島講師の「演習書で学ぶ司法試験合格答案」で学習した科目も多かったのですが、この講座は私の中ではウルトラ一押し講座です。学者執筆の演習書を使って試験対策をするというコンセプトの講座ですが、秋島講師が大事だと言ったところが面白いくらい試験に出ます。例えば、2019年の予備試験の憲法の問題は、秋島講師が別紙で判旨を引用して重点的に解説してくださった、エホバの証人剣道受講拒否事件が下敷きになっていました。また、2020年の司法試験でも、例えば刑訴法では同種前科による犯人性認定の論点で、秋島講師がパワーポイントで引用してくださっていた調査官解説(だったと思います。あてはめの相場が解説されている節です)が生きる場面がありました。あの講義は現場で使えるようなエッセンスを惜しみなく伝授してくれる講義だと思います。

〈司法試験対策に必要となる勉強について〉

 基礎学習の段階から、しっかりと伊藤塾に必要な基礎知識を叩き込んでもらい、それを何度も復習して盤石な基礎を身に着けることが何よりも大事だと思います。私は、一通り知識をインプットし終わるまでは大学の授業だけで勉強していたので、だいぶ遠回りをしたなと感じています。これは私が入塾前身をもって体感したことなのですが、最初に「これだ」と決めた教科書などが試験対策上不十分なものだと、その教科書を何度回しても十分な力はつきません。他方で、それを恐れて分厚い体系書を選んでしまうと、試験対策上は不要な記述まで、メリハリがつけられないまま無意味に暗記することになり、負担が大幅に重くなります。だからこそ、受験指導のプロである伊藤塾の力を借りるべきなのです。
伊藤塾の教材を使えば、試験対策上必要十分な知識だけを最も効率よく身に着けることができます。これさえやっておけばよいという最強のテキストが伊藤塾によって提供されているのです。たしかに、値段は安くないかもしれませんが、伊藤塾に通わなかった結果かかるであろう余計な費用に比べれば、安いものだと思います。 

おわりに

 法科大学院で双方向形式の授業を受けていて思うことがあります。それは、教授との問答の中で、伊藤塾ならA+で教わっていること、つまり法科大学院生なら理解してて当然でしょ?と思うような質問に答えられない人が意外にたくさんいることです。
伊藤塾は司法試験対策に必要なことに絞って指導をしていますが、そのことはつまり、膨大な法律学の中から、法律家であれば誰もが知っている法的常識に絞ってみっちり教えてくれているということでもあるのだと思います。上記のような質問に窮する方は、おそらくその辺のメリハリを知らずに学習してしまったのだろうと思います。「伊藤塾で勉強してる奴は自説(≒判例通説)しか知らない」と聞くことがあります。しかし、「四大」と言われる各法律事務所のクラークに参加して痛感したのですが、実務は判例通説で動いています。また、判例通説についての理解が一定程度あれば、一流の弁護士の先生との法的会話も十分に通用します。
学者本が正義、受験指導校は邪道だと思っている人もいるのかもしれませんが、学者本だけで勉強して基礎的な部分がおぼつかないのであれば、元も子もありません。
伊藤塾で教わった法的常識は、法律家として人生を歩むうえでの堅固な礎になっているのでないかと思います。その意味で、伊藤塾は司法試験受験指導校というよりは、厳然たる「法律家養成学校」なのだと思います。