好きこそ物の上手なれ
仕事をしながらの勉強は大変かもしれないが法律に対する興味や面白いという感情があれば続けられます

\ 予備試験ルートで司法試験合格 /
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K.Yさん:法律事務所事務員
◆ 予備試験合格時 /法律事務所事務員
◆ 出 身 大 学 /慶應義塾大学商学部卒業

受講講座
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、司法試験論文過去問マスター、司法試験演習秋生など

※プロフィールは、2020年度合格時点のものです。

はじめに

大学卒業後新卒で入社した化学メーカーで、3年間で営業職として会社員をしましたが、3年目を迎える頃には仕事のおもしろさを感じず、このままやりがいを感じない仕事を続けていてもよいのだろうかと疑問を感じ始めていました。また、会社員として働き続けるにしても毎日目標もなく、会社に朝早く行き、夜遅くに帰り、寝るということを繰り返す生活に虚しさを感じており、何か熱中できるものが欲しいなと考えていました。小さい頃から何となく法律の絡んだドラマやTV番組に興味がありよく観ていたのですが、司法試験の勉強というのはどんなものなのだろうかと思い、会社員3年目の盆休み前の仕事帰りに、伊藤塾の体験講義に混ぜてもらえないか相談したところ、山本有司講師のクラスと伊藤塾長のクラスに混ぜてもらえることになりました。そこで両講師の講義を一度ずつ聴き、かつて大学受験のときに勉強に熱中していたときの興奮を思い出し、まずは趣味からでいいやという、軽い気持ちで山本有司講師の入門講座に申し込みました。他の受験指導校は頭になく、なんとなく司法試験は伊藤塾という情報だけが頭にあったので伊藤塾に最初に相談し、講義を気に入り伊藤塾を選びました。

私の勉強法

〈基礎学習について〉

会社員3年目の盆休み前に伊藤塾の講座を申し込みましたが、盆休み明けから仕事が忙しくなり、結局講義を聴くこともできませんでした。そこで、3年目が終わる3月一杯で一念発起会社員を辞め、運良く求人が出ていた法律事務所事務員に転職をしました。ですので、私が勉強を本格的に開始したのは入門講座に申し込んだ翌年でした。同じ講座に申し込んだ他の塾生が論文マスター講義に入る段階で基礎マスター講義を受講し始めました。一年遅れで始まったわけですが、最初の一年目は基礎マスター講義を各科目一周することと翌年の予備試験短答式の合格を目標としました。最初に、平日は出勤前の朝2時間と退勤後の夜4時間を勉強時間に充てることを前提として基礎マスター講義の受講スケジュールを立てました。実際は朝勉強していても眠くなり寝てしまったりして、スケジュールに遅れが出ることがあり、遅れが出てしまった分は土日を使って追いつかせるということをしていました。講義を聴いて、空いた時間でそれまでにやった箇所の復習(テキストの読み返し、不明点についての講義の聴き直し)をすることで手一杯でしたので、基礎マスター答練の受講、司法試験と予備試験短答式の過去問を解くということは、基礎マスター講義を一周消化するまでにすることはできませんでした。まずは、とにかく基礎マスター講義を一周消化することだけに専念しました。今思い返すと、基礎マスター答練の受講と短答式の過去問消化は同時にしておいた方がよかったなと思います。基礎マスター答練の問題を読んでみると論文マスター講義への良い橋渡しになるような短文の事例問題形式になっており、いわゆるインプット段階の基礎マスター講義の定着に適していたのだなと感じたためです。短答式過去問についても、文章を書くわけではないですが、覚えた知識を再度思い出すという記憶に不可欠な作業をすることになるため、インプットに適していました。一年目はなんとか基礎マスター講義は全科目一周でき、短答式の過去問も全年度全科目を一周できたわけではなかったのですが、半分ぐらいは消化した状態で予備試験の短答式を受験するところまでいきました。
初めての予備試験短答式は合格点に遠く及ばず不合格でした。二年目は論文マスター講義に取り掛かるべきでしたが、短答式に受からなかったことで再度基礎マスターを聴き直すべきか悩みました。ただ、フォローアップ講義を視聴したところ、基礎マスターの内容が定着していないと思っても論文マスターに移行すべきと話されており、とりあえず論文マスターをやってみようと思い論文マスターの消化に取り掛かりました。二年目の目標は短答式を含めた予備試験最終合格とし、最初に翌年の予備試験までに論文マスター講義を各科目一周できるようにスケジュールを立てました。勉強時間については一年目と同じです。論文マスター講義では3回の講義で5〜6問の論文問題の講義がされますが、講師がこれは予習してきて欲しいと指定した問題については必ず少なくとも答案構成をするようにし、毎回必ず1問は手書きで時間を測り答案を作成するようにしました。空いた時間で復習をしましたが、復習よりも予習を優先しました。二年目の1月が終わる頃には論文マスター講義を各科目一周できたので、そこから2回目の予備試験までは短答式の過去問を解くことに専念しました。論文マスターを受講して答案構成をしたり答案を作成していく中で、基礎マスターで習った知識の位置づけや本当の意味がわかることが多々あり、不安でも素直に論文マスターに移行してよかったと思っています。

働きながらの学習方法について

仕事で嫌なことがあったりすると、退勤後に勉強する気が起きなかったりして、思うように勉強が進まずより嫌な気分になるということが多々ありました。気が向かないときは無理に勉強しても頭に入りにくいと思うので、やらない日を作ることもありました。そういうときのために、土日を調整日にするなどうまく調節できるようなスケジュールを立てるのがコツだと思います。

予備試験を目指した理由

伊藤塾に入った当初は法科大学院に通うお金がありませんでした。また、自分がどこまで本気で受験勉強に取り組めるかがわからず、法科大学院入学に投資する勇気がありませんでした。予備試験合格は司法試験合格を兼ねるというように聞いていたため、それであれば金銭的負担の軽い予備試験合格を目指そうというように考えました。

予備試験に向けた学習について

〈コンプリート論文答練を受講して〉

2回目の予備試験で論文式不合格となったあとから受講しました。コンプリート論文答練を受講している頃が一番自分自身で伸びていると実感した時期でした。予備試験型の問題を毎週解き続けることで、答案作成に慣れることができ、その流れのまま3回目の予備試験に挑めたと思います。論文マスター講義受講が終わったあとの勉強のよいペースメーカーになりました。

司法試験に向けた学習について

〈ペースメーカー論文答練を受講して〉

司法試験過去問から先に解き始め、司法試験過去問を各年度各科目一周する頃には、途中答案を防止するために答案構成の時間を削って答案作成に時間をあてるなどして工夫をしましたが、雑な答案になり出題趣旨に沿わない内容となったり、問題文の誘導を無視するなどして、かえって添削の点数が下がるという事態に陥っていました。文字を書くスピードが遅いのか、問題文を読むスピードが遅いのかなどと試行錯誤しているうちに、添削してもらえる年度についての添削が全て終了し、ペースメーカー論文答練の受講に移りました。
基本的に必要な知識は予備試験合格時に備わっていたようで新しい知識がついたという感覚はあまりありませんでしたが、岡崎講師が書いた5〜6頁目安の答案例がかなり役に立ちました。書く文字数は少なく、必要不可欠な内容だけコンパクトに答案に盛り込むという視点はそれまで自分にはなかったものであり、司法試験答案を書ききるためのカギがわかったように感じました。ペースメーカー論文答練受講の頃から答案構成の時間は確保しつつ、残った答案作成時間と配点比率から設問ごとの答案用紙の割当を決め、その中で設問ごとにまとめるということを繰り返しました。

〈司法試験論文過去問マスターを受講して〉

予備試験よりも問題文が長く、書く答案の分量が多かったり、問題文が回答に当たって要求してくる内容が多いということは事前に知っていたので、まずは伊藤塾で添削してもらえる年度の司法試験の過去問を解いてみることとしました。予備試験論文式ですと、わかる問題については時間内に模範解答に近い内容を書くことはできるようになっていたのですが、司法試験では模範解答通りに書こうとすると物理的に時間が足りなくなるということがわかりました。この点はやはり過去問を解いておいてよかった点でした。また司法試験論文過去問マスター講義では伊関講師がどの設問については書けなくてはダメか、反対にどの設問については書けなくてもよいかということを解説してくださり、出題趣旨や採点実感だけではわからない受験生の相場観を知ることができよかったと思いました。

〈短答式全国実力確認テストや全国統一模試を受講して〉

TKC全国統一模試を受けました。3月に受験しましたが、この模試をまずは本番だと思うようにし、勉強スケジュールを立てるようにしました。コロナウイルス感染防止のために自宅受験にしましたが、本番と同様の時間割で解き、全科目が終了するまで解説冊子は開かないようにしました。

〈その他の講座を受講して〉

予備試験受験時から個人的に商法が苦手でしたので、岡崎講師の会社法判例百選講義を受講しました。判例百選の事案・判旨・解説の全てを読む時間はなかったのですが、岡崎講師が重要箇所にだけマーキング指示をしてくださるので、その箇所だけ読み込むことで判例の理解が深まりました。

〈司法試験対策に必要となる勉強について〉

工夫した点はとにかく答案をコンパクトにまとめる練習をしたことです。出題趣旨に外れた内容を長々書くよりも、短かったり薄かったりしても出題趣旨として作問者が書いて欲しい内容について触れる答案を目指して、過去問を解いたり答練を受けたりしました。失敗した点は司法試験過去問の2011年度以前の問題を解かなかったことです。出題形式が現行制度と異なっていることもあり、不要と判断しましたが、令和2年司法試験に2011年以前に出題された内容が再度出題されていたものもあったようで、今になってみれば解いておいた方がよかったなと思います。

おわりに

自分の司法試験受験勉強に配慮して頂いた職場の方に感謝したいです。そしてなにより、休日に遊んだりすることを我慢して支え続けてくれた妻に感謝です。同じ社会人経験のある方で司法試験受験を考えている方にはぜひ挑戦してみて欲しいです。学生ではなく仕事をしながらする勉強は大変かもしれないですが、それでも勉強が続いているのだとすればそれは自分が法律に対して興味や面白いという感情を持っている何よりの証です。好きこそ物の上手なれ、ですので継続してみてください。

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論文ナビゲートテキスト(加工後)