伊藤塾で指示されたこと以外はやらない。メリハリをつける。学習方法で迷わないため、忙しい社会人でも最低限の時間で予備試験・司法試験に合格することは可能です。

\ 予備試験ルートで司法試験合格 /
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Y.Kさん:会社員
◆ 予備試験合格時 /会社員
◆ 出 身 大 学 /早稲田大学法学部卒業

受講講座
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、司法試験論文過去問マスター、司法試験演習秋生など

※プロフィールは、2020年度合格時点のものです。

はじめに

 伊藤塾への入塾を検討したのは、2015年の12月頃でした。社会人生活も3年目の後半に入り、ある程度自分で仕事のコントロールができるようになってきた時期でした。それまでは、自分の仕事をこなすのに精一杯で、残業もそれなりに多かったので、家と会社の往復でしたが、この頃から勤務時間後に多少時間ができはじめたので、せっかく時間もあるし、何かやってみたいと考えました。また、仕事自体にはあまり不満はなかったのですが、同じ会社で定年まで働き続けるということも考えられなかったので、会社を離れても自分の武器になる資格取得を目指すことにしました。そして、法学部出身だったので、比較的身近であることもあり、また、その頃やっていた下町ロケットというテレビドラマで、弁護士が中小企業の技術を守っている姿がとてもカッコいいと感じたこともあり、司法試験への挑戦を考えました。
 そこで、まずは、圧倒的な合格実績を持ち、自宅からも通いやすい伊藤塾の窓口に案内を聞きに行きました。また、司法試験を目指す人向けの伊藤塾の無料公開講座も受講しました。その中で、勉強開始から最短で2年数ヶ月後の予備試験論文式試験の合格を目指すこと、講義は週3日で、社会人の場合には、1週間に15時間を勉強に充てられれば十分合格可能という案内がありました。司法試験というと、最難関の国家試験でもあり、かなり長い時間勉強しなければならないというイメージがあったのですが、2年や15時間という言葉に、実現可能性を感じ、挑戦を決めました。他の受験指導校での学習や独習も検討はしました。しかし、1人だとサボってしまいがちな私の性格を考えると、決まった曜日に講義を受けるという伊藤塾のスタイルがルーティーン化しやすく、合っていると考えました。
 また、圧倒的な合格実績があるので、基本的にはカリキュラムに沿って学習すれば足り、勉強方法を考えることに無駄な時間を費やさなくていいことも魅力でした。さらに、窓口での案内が懇切丁寧であり、スタッフ、講師が信頼できると感じたことも魅力でした。そのような魅力から、伊藤塾に入塾し、司法試験を目指すことにしました。

私の勉強法

〈基礎学習について〉

 最初の1年間に開講される基礎マスターでは、とにかく講義のペースについていくことを心がけました。講義は月曜日、水曜日、土曜日にあるのですが、必ずライブで受講するようにし、仕事の都合などでどうしても遅刻、欠席してしまった場合には、受講できなかった部分を次の講義の日までにwebで受講するようにしていました。そして、講義のない日は復習に充てていました。復習としては、基礎マスターテキストのうち、前回の講義で進んだ範囲を読み込み、出てきた条文を六法で確認するということをやっていました。余裕があれば、それ以前にやった範囲の重要箇所もざっと確認し、記憶を定着させるようにしました。講義中に細かく重要度のランクづけがされますし、講義の冒頭でも前回までにやったことをざっくり説明していただけるので、どこが重要だったか、どこを最低限押さえておかなければならないかはわかりやすいと思います。ただ、復習が終わっていなくても、次の講義には必ず出るようにしていました。あくまで、講義に出ることを最優先にし、勉強を習慣化すること、まずは一通りの学習を終えることを目標にしました。記憶の定着には、当然早くに復習するに越したことはないのですが、テキストの読み込みは、土日やまとまった休みにある程度まとめてやることができます。一方で、1日3時間ある講義を1週間お休みしてしまうと、9時間の借金となるとともに、次の講義にも進めませんので、借金がどんどん膨らんでしまいます。そうすると、そのうち返済が困難になり、やがて勉強が嫌になるだろうと考えました。そのような悪循環に陥るのが嫌だったので、前述のような優先順位付けをしました。これだけ心がけていても、120時間以上の講義数があり4ヶ月近く続く民法については、仕事の繁忙期と重なったこともあり、継続が困難になり、借金地獄に陥りました。その時期はモチベーションを維持するのが大変でしたが、いったん民法は諦めて、全科目終了してから戻ってこようと切り替え、刑法から再び講義に復帰することができました。司法試験の学習では、学習を開始してから、全科目を一周する前に脱落してしまう方が非常に多いと聞きます。科目の切り替えや分野の切り替えのタイミングで、前の失敗を気にせず、立て直すことができたのはよかったと思います。
 また、基礎マスターが終了した直後の予備試験短答式試験に合格して早めに論文式試験に挑戦したいと考えていたので、1年目から短答式試験対策も行いました。短答式試験対策としては、とにかく過去問演習を重視しました。1年目の12月ごろから、すでに基礎マスターが終わっている科目について、過去問を解きはじめました。最初は基礎マスターの受講や復習と並行なので、あまり進みがよくはないのですが、4月ごろに基礎マスターのうち法律科目が全科目終了し、その後は短答式試験まで講義がないので、その間に一気に進めました。短答式試験の過去問を解くことで、どの論点が繰り返し問われているのか、どの程度までの知識が必要とされているのかがわかるので、基礎マスターの復習時にメリハリがつけられるようになりました。また、過去問を解くこと自体がその分野の復習になるので、私は実践できていなかったのですが、余裕があれば、基礎マスター開講当初から、復習として、直前の講義で学習した分野の過去問を解いておくのがよいのではないかと考えています。加えて、4月から短答式試験終了までの間に、いったん先送りにしていた民法の講義や、ライブ講義のない各訴訟法の短答知識完成編をWeb受講していました。時間の関係上、同じくWebでの受講が必要な、商法の短答知識完成編と商法総則、商行為法及び手形、小切手法の受講ができませんでしたので、最初の年は商法で高得点を取るのは諦め、過去問もやりませんでした。一方で、他の科目は、過去問を全て解き、その後、間違っていた問題は再度解き直しました。結果的に、1年で短答式試験に合格することができましたが、過去問を繰り返し解き、必要な知識を定着させておけばある程度の点数は取れますし、科目数が多い分、一科目大失敗しても合格できますので、過去問を最優先にし、こなせない講義等はいったんこの段階では諦めるという判断がよかったのだと思います。ただ、試験に不慣れな分、時間配分を失敗し、一部時間が足りなくなってしまいましたので、最初のチャレンジから短答模試は受けておけばよかったと思いました。2回目以降は模試を受験したのですが、そのおかげで、時間配分のミスはなくなりました。司法試験の段階になると、予備試験に比べて、完全解を導くために必要とされる知識レベルは若干上がります。しかし、合格に必要な知識レベルという意味では予備試験とほぼ同じと言っていいと思います。そして、その知識レベルは基礎マスターのみで十分修得できます。したがって、他のものに手を出さず、折に触れて(過去問演習時など)基礎マスターで学習したことの定着を図ることがとにかく重要であると考えています。
 
 まず、早い段階で採点の基準を感覚的につかみたいと考えていたので、とにかく最初の年の短答式試験に合格することにこだわりました。その結果、最初の年から論文式試験に挑戦でき、成績の開示を受けることができました。順位は散々なものでしたが、手応えがあった3科目はAとBが取れていたので、基本的なことをしっかり書けば評価されると考えることができるようになり、答練の点数などに一喜一憂しないようになりました。一方で、時間内に答案を書き切ることが極めて難しいことだと感じたので、慣れを作ることを重視するようにしました。具体的には、論文マスターにおいて、予習段階で時間を測って答案を書いてから講義に臨むようにしました。全問題を解いている余裕はなかったので、これは書いてきてくださいね、と講師から指示があった問題についてだけ、書いてから講義に臨んでいました。講義の受講や復習に加えて、基礎マスター段階では全くしなかった予習という工程が加わることになったので、この時期は1番厳しい時期でしたが、基礎マスターと比べるとかなり短期間ですので、なんとか乗り切りました。
 また、2回目の論文式試験直前には論文直前答練を、その合格発表直後にはコンプリート論文答練を受講し、初見の問題をスピーディーに解けるようにしました。これらの問題はよく練られていて、予備試験本番の問題に近いものですので、時間内に初見の問題を解く非常に良い機会になります。また、一喜一憂してはいけませんが他者から評価を受けることができますので、自分の知識、立ち位置の確認をすることもできます。論文マスター終了後は講義がなくなりますので、これらの答練が良いペースメーカーにもなりました。知識が定着していないかもしれないと心配であっても、とりあえず書いてみるというのが重要だと感じました。本番で知っていることしか出題されないということはまずありませんので、なんとかひねり出す訓練をすることは有益ですし、書いてみてわからなかったことは、記憶に残りやすいです。基礎マスターを一周している人であれば、多少忘れていることがあったとしても、最低限論文を書く力はありますので、とにかく前に進むことが大事だと思いました。

働きながらの学習方法について

 働きながら学習するにあたっては、メリハリをつけることと、余計なことはしないことを心がけていました。隙間時間の学習を積み重ねて大きな時間を生み出すというよりは、30分以上のある程度まとまった時間に集中して勉強することを心がけていました。そのために、帰りの電車の中では15分程度寝るようにし、仕事後の学習時間でも集中力を保てるようにしていました。また、モチベーションを維持するために、昼の休憩時間は勉強をするのではなく、ランチに出て美味しいものを食べ、休日や勤務時間後の飲み会なども完全に排除するのではなく、月3回程度は行っていました。長丁場ですので、持続可能な勉強の仕方を探すことが大事だと思います。一方で、時間は限られていますので、伊藤塾を信じて、指示されたこと以外はやらないようにしていました。入門講座といくつかの答練だけやっていれば十分合格可能な知識は修得できますので、手を広げないことが大事だと思います。私は予備試験合格までは判例百選すら購入しませんでした。 

予備試験を目指した理由

 法科大学院に行くこととした場合、会社を辞めなければならず、最低でも2年間は無収入となり、経済的な不安を抱えることになります。また、数年間社会人としての歩みを止めて社会から距離をとってしまうと、法曹になってからしばらくは社会人としての感覚を取り戻せないのではないかという不安もありました。そこで、働きながら目指せる点で、そのような不安を抱える必要のない予備試験経由での司法試験合格を目指しました。

〈コンプリート論文答練を受講して〉

 初見の問題を分析し、答案を構成・作成することができるため、時間内に答案を書き切るための良い訓練になりました。 

〈短答答練・全国公開短答模試を受講して〉

 短答答練を受けたことにより、実際の試験でどの程度の時間配分で問題を解いていく必要があるのかを確認することができ、ひとつの問題に悩みすぎることが愚かであり、場合によっては適当にマークして進んでいく必要があることを学ぶことができた。その結果、本番では、時間内に処理しきることができた。

司法試験に向けた学習について

〈ペースメーカー論文答練を受講して〉

 令和2年の司法試験は、5月に実施される予定が8月に延期になったので、3ヶ月余分に勉強期間ができました。そこで、当初は受講する予定のなかったペースメーカー論文答練を受講することにしました。私は、時間内に答案を書き切ることに不安を感じていたので、初見の問題を分析し、時間内に答案構成・作成を行うことに慣れるために同答練を受講していました。問われている知識のレベルや分量の点で、同答練の問題は過去問よりやや難しいように思えましたので、同答練の採点結果には一喜一憂せず、また、同答練を通して新しい知識を修得しようともせず、時間管理や答案作成能力の維持・向上、基礎知識を忘れていないかの確認のために同答練を活用していました。結果的に、試験が延期になっても、間延びすることなく、むしろ問題演習を通して時間内に答案を作成する能力を伸ばすことができたので、本番でも、途中答案を出さないという目標を達成することができました。 

〈司法試験論文過去問マスターを受講して〉

 予備試験の合格発表から司法試験本番までの間、私は、司法試験論文過去問マスターを勉強の軸にしていました。まずは過去問を自分の力で解き、次に講義を聴き、その後、うまく処理ができなかった論点や知識が定着しているか不安だった論点について復習するという学習方法で、2019年から2009年までの11年分の学習を各科目2周ずつ(憲法のみ1周)行いました。
 司法試験の問題では、できないと合格できない論点とできなくても合否に全く影響しない論点がいずれも出題されます。司法試験論文過去問マスターの学習を通して、その線引きができるようになり、難しい論点は時間を使わず数行であっさり処理して、できなければならない論点を時間をたっぷり使って処理するというメリハリをつけた答案作成能力を身につけることができました。また、ある程度まとまった期間の過去問演習を行うことで、網羅的に知識を確認することができるので、この期間には改めて基礎マスターテキストの読み込みなどを行わなくても、過去問演習だけで知識を定着させることができました。 

〈短答式全国実力確認テストや全国統一模試を受講して〉

 私は全国統一模試を3月初旬という比較的早い時期に受験しました。予備試験経由でしかも社会人の受験生は、勉強の進度が比較的遅いので、早い時期に模試を受けても低得点に終わることが多いのですが、その時点でのリアルな自分の立ち位置や、添削者からの評価、重点的に学習するべき科目を早めに知りたいと思いその時期に受験しました。受験したことで、科目間の優先順位をつけることができ、例えば、自分が得意だと思っていた刑事訴訟法は全く評価されていないことが分かったため、重点的に学習することにするなどの対応を行うことができました。また、模試は本番の予行演習でもあるので、飲食店やトイレなど、会場付近の状況や数科目連続で答案を書いたのちの疲労度や空腹度合いなども模試の際に確認し、どのような食事をどのような量採るべきかなど、本番の振る舞いを決定できたのも大きな収穫でした。 

〈その他の講座を受講して〉

 私は司法試験ゼミを受講していました。このゼミでは、直前の司法試験の過去問を解くため、答案を時間内に書き切る良い訓練になりました。また、一緒に受講している方々が予備試験に受かられた優秀な方ばかりなので、求められる知識の上限を超えた部分、すなわち、模範解答には載っているものの現実的には書ける必要のない知識が明らかになり、司法試験論文過去問マスターと相まって、メリハリをつけられるようになりました。

〈司法試験対策に必要となる勉強について〉

 司法試験対策は、過去問演習を徹底的に行うことに尽きると思います。演習を通して時間内に長文の問題を分析し、答案を構成・作成することに慣れて、途中答案をなくすことが第一歩です。また、合否を分けるポイントを把握することにも慣れ、メリハリのついた答案を書けるようにならないといけません。よほど筆力のある人でない限り、答案用紙5から6頁の答案が成果物となるでしょうから、誰も気づかないような難しい論点は数行で処理し、みんなが書いてくるようなところを書き負けないように厚く書く訓練をしないといけません。一方で、司法試験受験生レベルであれば、司法試験に合格するのに必要な知識は持っているでしょうから、司法試験まで半年を切っているような直前期に、細かい知識を修得するために時間を費やすのは愚策です。このタイミングではとにかく演習を行うのがいいと思います。 

おわりに

 勉強方法で迷わなかったのが一番大きかったです。実体的な学習に脳を集中させられたので、最低限の時間で予備試験・司法試験に合格することができました。長年の研究の末にこのカリキュラムやテキスト、講義を編み出された講師やスタッフの皆さんに心より感謝申し上げたいと思います。
 また、勉強方法で迷うことがなければ、司法試験合格のために、一日十時間以上といった超長時間の勉強をする必要はありません。そのため、それなりに忙しい社会人であっても、土日の活用により、比較的短期間で合格することが可能だと思います。やらずに諦めることなく、積極的に挑戦してみていただければと思います。