公認会計士と弁護士。伊藤塾の学習を通じて学んだことは今後の仕事の幅を広げることにつながっていると確信しております

\ 予備試験ルートで司法試験合格 /
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緒方 文彦 さん:公認会計士
◆ 予備試験合格時 /公認会計士
◆ 出身大学 /東京大学文学部卒業

受講講座
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、司法試験論文過去問マスター、司法試験演習秋生など

※プロフィールは、2020年度合格時点のものです。

はじめに

公認会計士として上場企業、IPOを目指す非上場企業に対する監査業務に従事する中で、会計に関する分野と法律に関する分野の相互関連性を感じ、両者は非常に密接に関わっていること、両者の知識があることによる付加価値に提供の程度は非常に大きいことを実感しました。たとえば、会計監査において適正意見を表明するには、企業が構築する内部統制の整備・運用状況の評価が大変重要なのですが、内部統制の構築責任は会社法でも定められ、内部統制の不備は取締役の責任問題にも発展します。法律問題としての内部統制の構築責任、会計監査における財務報告にかかる内部統制の整備運用状況の評価はいずれも密接に関連した問題になります。このような業務において複合的視点をもてる専門家となるべく、法律家兼会計の専門家としての道を歩むことを決心いたしました。

私の勉強法

〈基礎学習について〉

入門段階の学習方法 理想をいえば、講義の都度復習して、わからないところを随時解消していく勉強方法が望ましいのだと思います。しかし、社会人受験生となると理想通りにはいかず、講義を視聴するだけでいっぱいいっぱいになる方が大多数派になるのではないでしょうか。私もその一人です。まずは講義を7科目全て聴き切り、テキストを全て1周回しきることを目標にしました。まずは一周、という大雑把な方法も最終ゴールに向かうためには必要な判断と思います。スランプに陥った場合の脱出方法については月並みですが、スランプは誰にでも起きるものですので、繰り返しの学習を経て、乗り越えればゴールに近づくと考えるのがいいのではないでしょうか。私は短答合格が3回目でしたので、最初のスランプが長かったです。短答でスランプに陥るタイプは、おそらく基礎知識の定着が足りていないことが主原因ですので、対処策は基礎マスターテキストの繰り返しと過去問の繰り返しに尽きると思います。曖昧な知識は本当に役に立ちませんし、試験の現場においては有害であることを実感しました。学習経験の中で、予想以上に知識の定着度のハードルは高いと感じました。
基礎マスターの学習において重要なことは基礎マスターの学習において重要なのは、短答論文問わずアウトプットと並行することかと思います。テキストの熟読だけではゴールに向けた勉強にならず、また最終的に最も重要になる法律の運用能力が伴わない勉強になってしまうため、多くの方にとって結果が伴わず、大きなスランプに陥ってしまうのではないでしょうか。 
私は基礎マスターから論文マスターへの移行がスムーズであったとはとてもいえないタイプであると思います。私は学習スタートが20165月で、論文マスター開始が20175月でしたが、2017年は仕事が非常に忙しい時期で、学習にあまり時間を割くことができなかった年でもあります。基礎マスター知識の定着もおぼつかないままの論文マスターの受講により、得るものが非常に限られてしまっていたことが悔やまれます。伊藤塾の論文マスターでは旧司法試験の問題(現行は予備試験の過去問も取り入れられていると聞いております)を取り扱っていますが、できるだけたくさんの問題を実際に答案に起こし、第3者の目をいれていただき軌道修正を繰り返すことが重要なのだと思います。

働きながらの学習方法について

公認会計士として監査法人のシニアスタッフ勤務をしております。上場会社の法定監査業務、IPOを目指す非上場会社の監査業務、ベンチャーキャピタルファンド監査に従事しており、主任業務も行っております。業務内容としては繁忙期とそうでない時期の差が非常に激しいです。繁忙月は4月、5月、7月、8月、10月でそれ以外の月は比較的平穏な月です。これらの時期を見ていただいてわかると思うのですが、全て試験の開催時期と繁忙期が重なっており、これが非常に鬼門で、短答合格に時間を要した最も大きな原因であると考えております。学習時間捻出は無理なときは無理、とあきらめておりました。あくまで仕事と勉強の両立をしたうえで合格する、ということが私にとってのテーマでした。週の学習時間も時期によってバラバラです。学習に時間を当てやすい週なら平日でも朝3時間、夜5時間、休日12~14時間勉強して1週間で70時間勉強するときもありましたが、逆に平日全く勉強できず、休日も出勤のため1週間で10時間も勉強できない週もありました。工夫といえるのかわかりませんが、勉強できると踏んだときに徹底的に勉強に充て、特に論文答案の作成に時間を割いたことが勝因であると思っております。

予備試験を目指した理由

予備試験学習がそのまま司法試験学習につながるという情報、予備試験合格によって得られる就職上のメリット、予備試験合格によって得られる法律家としての自信を事前に考えて予備試験ルートを選びました。働きながら法科大学院の授業を消化することも現実的ではなく、自分自身のスタイルで学習を進められる予備試験ルートには魅力を感じました。このため予備試験ルートにより司法試験を受験しました。司法試験の学習は、司法試験の出題形式になれることと、選択科目の学習、改正民法の学習以外は司法試験の延長戦にありましたので、予備試験の学習で得られた盤石な基礎が揺らぐことがないように細心の注意を払って学習しておりました。

〈コンプリート論文答練を受講して〉

私は短答に2回落ちるという経験をしておりましたので、とにかく論文の答案を大量に書き、論文だけでも最短で合格するということを目標にしていました。自己の短答の知識不足は認識しておりましたが、それでも短答に特化する勉強はあえてしませんでした。コンプリート論文答練は練習試合を着実に積み上げる材料として最適で、初見の問題でも食らいつく能力が身についていったものと思います。

〈予備試験論文過去問マスター・論文過去問答練を受講して〉

予備試験は詳細な出題趣旨、採点実感のある司法試験よりも採点基準にブラックボックスが存在する側面が強いと思います。予備試験論文過去問マスターには伊藤塾の想定する完全解と現実的な再現答案の両者が含まれておりましたので、不明確な採点基準が一目瞭然となり、ゴール地点がどこにあるのかを把握することに非常に役立ちました。特にわからない問題こそ、法的三段論法を守ることの重要性を心の底から納得して学べたことは合格に直結したものと思います。論文過去問答練は実際の自分のアウトプットの不十分さを痛感することに役立ちました。これがないと、本番でのアウトプットにも自信が持てなかったと思います。 

〈短答答練・全国公開短答模試を受講して〉

短答に合格するためには、論文学習と重なる問題を確実に正解することを第一の目標にしてメリハリをつける必要があると思います。このタイプの問題は概ね受験生全体の正答率も高くなりがちで、ここを落とすと本当に簡単に致命傷になってしまうのだと思います。短答プロパーのとても細かい知識もあるにはあるのですが、これらに振り回され、下手に細かい知識を追いかけても、相当学習効率は悪いものになってしまうと思います。このような出題の傾向を、実際に周りの受験生の正答率とともに把握できる短答模試は非常に役に立ちました

 司法試験に向けた学習について

〈司法試験論文過去問マスターを受講して〉

予備試験合格後は司法試験の過去問の検討が勉強の中心を占めていました。特に役に立った学習は司法試験論文過去問答練を利用し、司法試験ゼミで出会った予備試験ルートの社会人受験生の仲間3名との間で、週に1回、司法試験ゼミの直後に自主ゼミを実施して、司法試験の過去問を検討した結果を互いに伝えあったことがあります。これは予備試験段階では一切していなかった勉強方法でとても有意義でした。他の受験生がどのような答案を作成するのか、という視点は相対評価の試験においては非常に重要な視点であり、標準的受験生から外れない答案を作成するためには非常に大事なことであると思います。

 〈短答式全国実力確認テストや全国統一模試を受講して〉

2020年はコロナウイルスの影響で司法試験が5月から8月に延期されてしまったことがあり、緊張の糸を切らさないことが非常に受験対策上も重要でした。全国統一模試が3月と72回あったことによって、緊張の糸を切らさずに勉強を継続することができたことが非常に助かりました。成績が出ることにより、自分の弱点を客観視できたこと(しかも2回も!)も非常に有用で、学習が充実いたしました。

 〈その他の講座を受講して〉

伊藤塾の司法試験ゼミは大変役に立ちました。これは同様の境遇にある社会人受験生の皆様との横のつながりができたことにあります。これによりコロナウイルス下でも週に1Skype開催の自主ゼミを実施できたことで学習の間延び回避に役立つとともに、過去問の深い検討を実施することができました。

 〈司法試験対策に必要となる勉強について〉

予備試験・司法試験の受験の成功ないし失敗に至るのには二面性があると考えています。一面は努力でなんとかできるという側面、もう一面は努力してもその方向性が誤っていれば結果は伴わないという側面です。後者のデメリットは計り知れず、情報が足りなければ試験にも成功しないです。社会人は法学部生、法科大学院生と異なり、なおさら周りに仲間がいませんので情報不足に陥ります。そして、この情報というのが「試験での出題可能性」というものであり、受験指導校はここをしっかりと教えてくれます。司法試験・予備試験を通じて伊藤塾で重要と言われたことはまず本試験で問われました。これはとても独学では得ることができない貴重な情報ですので、このメリットは享受しない手はないと思います。

おわりに

まず社会人でありながらも最終合格にまでたどり着いたことは私一人では到底できたことではなく、監査法人の監査チームの皆様が私の試験中、私の業務を代わりに実施してくださっていたことに支えられていたものと本当に実感しております。職場の皆様、本当にご迷惑をおかけいたしました。そして、ありがとうございました。今後は会計と法律の架け橋になる人材として、両者の融合的業務を模索していくことを考えております。公認会計士と弁護士の両者の資格保有者にとって悩みとなるのは、この両者の知識をいかに具体化して業務内容に落とし込み、商品化することができるのか、にあると思っております。ベンチャー企業に対するIPO関連の法務アドバイス業務は会計の観点が同時に必要になる場面が強く、この点を強みとする弁護士兼会計士をまずは目指すことを視野に入れております。伊藤塾の学習を通じて学んだことは今後の仕事の幅を広げることにつながっていると確信しております。法律家を目指す皆様は、一度決めた道を迷うことなく突き進んでいただければと思います。そして合格後に見える世界は今勉強しているこの時間と確実につながっています。ぜひ今の自分に誇りをもって、日々淡々と法律学習をすすめてください!


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