官僚と法曹と両にらみで目指すために、司法試験合格を目標に学習スタート。
合格はゴールではなく、スタート地点。コロナは人々の生活を大きく変えましたが、その中で法律家に求められる仕事は増えています。

\ 予備試験ルートで司法試験合格 /
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T.Mさん:東京大学法科大学院(既修)3年
◆ 予備試験合格時 /東京大学法科大学院(既修)2年 
◆ 出 身 大 学 /早稲田大学法学部卒業

受講講座
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、司法試験論文過去問マスター、司法試験演習秋生など

※プロフィールは、2020年度合格時点のものです。

はじめに

私は小学生の頃から、学級委員や生徒会運営、文化祭の実行委員など、みんなを引っ張っていく仕事が好きで、漠然と社会貢献をしたいという思いがあり、政治や行政の世界に関わりたいと考えていました。また、私は高校生まで祖父母と同居し、認知症を患った祖父の介護に約5年携わったことで、社会保障や医療問題に関心を持ちました。そこで、大学では医療・社会保障問題を法律の観点から学びたいと思い、また、将来的には官僚か弁護士になりたいと考え、法学部に進学しました。
大学入学時は官僚か法曹で悩んでいましたが、霞が関での省庁インターンや議員事務所でのインターン、弁護士事務所訪問をしたことを通じて、どのような仕事ができるのかより理解を深め、大学2年生から受験勉強を始めることに決めました。そして、伊藤塾で官僚と法曹を目指すうえでの勉強法を相談した際に司法試験を目指せば国家総合職は簡単に合格できることを知り、司法試験合格を目標に据え、大学2年生の春、伊藤塾に入塾しました。 

私の勉強法

〈基礎学習について〉

 私は法学部なので、学部の授業でも法律を学びましたが、憲法、民法、刑法以外は伊藤塾で先に勉強を開始しました。そのため、最初に教材となったのが基礎マスターで使用する入門講義テキストです。
このテキストは基本的知識の網羅性が非常に高いです。私はいまだに刑訴法・民訴法・会社法は基本書を持っていませんし、通読したこともありません。しかし、予備試験の論文式試験ではそれらの三科目は全てA評価をいただいています。演習本は後述する通り必要な部分もありますが、インプットは基礎マスターだけで十分です。
法科大学院では高度な議論のために教科書も買わされますが、それ以前に論証パターンや定義が身についていなければ話になりません。そして司法試験はその基礎さえしっかりできていれば受かる試験です。その意味で基礎マスターテキストは最強です。民法も家族法は基礎マスターのみで覚え、それだけで十分短答対策には対応できました。基礎マスターは合格の土台の8割を占めると思います。
司法試験、予備試験は難しいと言われますが、それは、内容ももちろんですが、継続することの難しさがあるからだと考えています。この基礎マスターをペース通りに受け切ることができれば、合格は思ったより近くに来ていると思います。
私は高田馬場校(現早稲田校)横山クラスで基礎マスターを受講し、憲法と民法はライブ講義で受けました。ライブ講義は、リアルタイムで進むので、講師が強調した場面を聞き逃さないよう、録画より緊張感を持って臨むことができます。コロナで教室受講が難しい方でも、オンラインライブ講義でリアルタイムの受講をおすすめします。
横山講師は基礎マスター段階で論文の練習をしてくださるので、早いうちに書き方の作法を知り、自分の弱点をはっきりと把握することができました。刑法は夏休みに先行Web配信で進めました。民法は量が多くリアルタイムでついていくのに必死でした。しかしそれを乗り越えると、刑訴や民訴は思ったより早く進むのではないかと思います。下4法も何とか1回目の短答式試験までには回しきることができました。
 
論文対策は論文マスターも進めましたが、伊藤塾のゼミに大変助けられました。あれがなければ今の自分はありません。法科大学院のようなソクラテスメソッドによって、自分で問題を考える習慣がつき、後々口述試験にも役立ちました。伊藤塾で開講されているゼミはぜひ受講していただきたいと思います。
 
またコンプリート答練論文直前答練は答案作成能力を底上げしてくれるのでやったほうがいいです。論証については論文ナビゲートテキストでもいいですが、刑訴など微妙な科目もあるので、ゼミなどで修正することをおすすめします。
市販の演習本としては、橋爪教授らの刑法事例演習教材や古江教授の刑事訴訟法事例演習や事例で考える会社法がおすすめです。ただこれらに着手するのは論文マスターが終わってからでいいと思います。論文マスターは予備試験の過去問も豊富に載っていますし、解説も丁寧です。過去問はまさに良問の宝庫ですので、講師が指定した答案は必ず書いてから受講するべきだと思います。 

司法試験に向けた学習について

ペースメーカー答練は、最近出題形式に変化が起きた憲法、刑法、刑事訴訟法の対策及び改正民法を前提とした出題への対策としてとても役に立ちました。とりわけ、刑法は、以前より時間管理に気を付けて答案を書く必要が生じたので、過去問2年分だけでは足りない形式への対応を充実させることができました。民法も、改正法を前提とした問題は手元にほとんどなかった(市販の演習本も十分でない)のでとても助かりました。
また、優秀答案や成績上位者に選ばれたときは、コンプリート答練などと同様にうれしくてモチベーションが上がりましたし、週に1回というペースも日程通りに進めば維持できるので、まさに「ペースメーカー」になっていました。そして、ペースメーカー答練は実際の問題より時間が足りなくなるくらいの問題量に設定されていると岡崎講師がおっしゃっており、本番よりシビアな時間を経験することができます。そのため、ペースメーカー答練は、特に予備試験合格者で司法試験への形式に慣れていない方、途中答案になりそうな方におすすめです。 

〈司法試験論文過去問マスターを受講して〉

 司法試験論文過去問マスターは、いちいち司法試験の過去問や出題趣旨を印刷する手間が省けること、添削の機会があること、解答例に加えて再現答案もあり、どのレベルの答案が書けると評価が得られるのかがわかるので、受講するのをおすすめします。
特に、新司法試験の問題形式が今と同じになった平成23年以降の問題は解くことをおすすめします。また、これらの講座が無料になる司法試験プロジェクトはとてもありがたいです。予備試験に合格するとその後のお金はほぼかかりません。予備試験合格によるメリットは本当に大きいので、絶対に合格を目指すべきです。

〈短答式全国実力確認テストや全国統一模試を受講して〉

 TKC全国統一模試は必ず受けたほうがいいです。その理由は三つあって、一つ目は、多くの人が受けるため自分の実力を測ることができ、さらに本番で模試と似たような問題が出たときに不利にならないということです。模試と本番に必ずしも相関関係があるとは言い切れませんが、出題予想に基づいていて出題的中もそれなりにある模試の問題が試験で出た場合に不利にならないよう、模試の問題をストックしておくのは重要です。
二つ目は、本番の緊張感を味わえることです。模試は実際の試験会場で行いますが、特に東京のTOCは椅子の座り心地の悪さや机の小ささなど環境が劣悪です。予備試験論文試験を受けられた経験がある方は何となくわかるでしょうけど、ない方は特に環境に体を慣らしておくのも有意義と考えます。
三つめは、ひとつの目標、到達点になることです。模試は大体3月ごろ、本番の2ヶ月前に行われるため、そこをひとつの目標としてそのあとのラストスパートを仕掛けるという予定を立てることができます。
また、TKC短答実力確認テストも重要です。ご存じかもしれませんが、今年は民法改正初年度で短答民法の足切りを受ける人が非常にたくさん出てしまいました。その中で私が民法の短答で63点という高得点をとることができたのは、TKC短答実力確認テストを通じて改正民法に対応した問題をたくさん解いていたからです。周りからは、改正前民法だと正解になる肢が間違いになっているところがたくさんあり、改正前にはなかった条文の知識不足で点が伸び悩んだという話がたくさん聞こえてきたので、改正民法を前提とした問題をたくさん解いておいてよかったと思いました。来年においても、改正民法を前提とした問題はまだまだ不十分ですので、短答短答実力確認テストの受験をおすすめします。

〈その他の講座を受講して〉

 選択科目もペースメーカー答練に組み込まれており、選択科目の新作問題を解く機会はなかなかないので、受けられてとても良かったです。また、呉講師の改正民法ポイント講義は、予備試験を旧法で、司法試験を新法で受けた狭間の世代としてとても助かりました。

〈司法試験対策に必要となる勉強について〉

 予備試験を合格された方であれば特に論文の実力はかなりついていると思いますが、司法試験は時間もタイトで問題の難易度も上がります。予備試験よりも1問あたりに使う時間が答案作成・復習ともに長くなってしまうので、ペース管理にかなり苦労しました。また、選択科目は予備試験合格後に真剣に始めたため、従来のスケジュールだとかなり危うかったです。そういった意味では延期に助けられたところもあるのかなと思います。他方、延期自体にはモチベーション維持に非常に苦労しました。私は学校の自習室で勉強する派なので、延期と自粛期間中のモチベーション維持や勉強への集中には本当に悩まされました。この状況はしばらく続くと思うので、家で勉強できる習慣は付けておくに越したことはないと思います。

おわりに

 合格はゴールではなく、スタート地点だと思っています。私は、初心を忘れず、社会に影響を与える法律家になりたいと考えています。特にコロナ禍で、ライフサイエンス分野に関する関心はさらに高まったので、ライフサイエンス、厚生労働関係の法律分野に強い弁護士になりたいと考えています。
最後になりましたが、自分への支援を惜しまず続けてくれた両親、伊藤塾の講師やスタッフの皆様、ともに切磋琢磨してきた仲間たちに感謝申し上げます。
これから、法律家を目指す皆さん、今はチャンスです。コロナは人々の生活を大きく変えましたが、その中で法律家に求められる仕事は増えています。ぜひ志を高く持ってチャレンジしていただきたいと思います。