法律家の資格は「人の心を救う」手段。他者のための自己でもありたい、と思います

\ 予備試験ルートで司法試験合格 /
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S.Sさん:東京大学法学部卒業 
◆予備試験合格時/東京大学法学部4年

受講講座
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、司法試験演習秋生など

※プロフィールは、2020年度合格時点のものです。

はじめに

僕が司法試験を目指そうと思ったのは、法律家は人助けをする職業だというイメージがあり、自分も人の力になれるだけの専門性が欲しいと考えたからです。大学入学後、周りの学生が少しずつ伊藤塾に通いはじめたので、自分も遅れをとるまいと入塾を決意しました。入塾の時期は大学1年生の5月頃だったと記憶しています。

 私の勉強法

<基礎学習について>

最初の1年間はほぼ丸ごと放置してしまった劣等生でした。正確にいうと大学2年生の8月の段階で憲民刑の基礎マスターを聴き終えた、というような進度でした。このように大きく遅れをとってしまう原因としては、いくつも理由をあげることができますが、その中でも学習方法について述べさせていただくと、やはり1周目の講義で完璧なノートを取ろうとしていた点はかなり大きな問題だと思います。とにかく初学者の学習としては一周目をいかに早く回すかが重要だと思います。精度を上げるのは論文マスター以降で構わないはずです。なぜなら、論文マスターで、どのような形で知識を表現していくのか、どのように論点を連動させていくのか、または、どのような場面でこの論点が繰り出されるのか、ようやく理解できるようになります。そのタイミングで基礎マスターの知識を確認しつつ、論文の解答例を参考にしてインプットの補強を行っていくのが効率的だと思います。基礎マスターを早く聴くためには筆記具はボールペンでなく鉛筆などの消しやすいもので構わないと思います。ボールペンでの筆記は論文の際に慣れていけば足りると考えます。
論文マスターの予習段階から自分で答案構成できるだけの実力はなかったので、問題文を読んだらすぐに解説を聴いてしまいました。確かに過去問などを実際に書いてみるという経験は不可欠ですが、論文マスターの旧司法試験の問題は現在と出題傾向も違いますし、書く必要はあまり感じませんでした。旧司法試験の問題は「基礎マスターの知識がどのように使われているか、どの論点とどの論点が連鎖しているかを把握するためのインプット教材」として考えて、基礎マスター同様に復習段階で細かく覚えていきました。コンプリート論文答練や予備試験の過去問演習でアウトプットの練習をしました。

 予備試験を目指した理由

予備試験ルートは巷で言われている通り就職活動に有利です。僕個人としてはそのような事情はモチベーションにはなりませんでしたが、将来の選択を広げる意味では他人におすすめできるルートだと思います。司法試験の受験対策という観点では法科大学院への進学は、遠回りだと思います。学部生時代に他の分野の勉強やバイトなどをしつつ、受験自体は最短距離で駆け抜ける、というモデルの方が個人的には魅力的に映りました。また何よりも、何かに真剣に打ち込むという経験を大学生のうちに積んでおきたいという思いが強かったので、この点で予備試験はうってつけの制度でした。

<コンプリート論文答練を受講して>

アウトプットの練習になりました。旧司法試験と予備試験の過去問とをつなぐ架け橋のようなイメージで受講していました。実務科目の演習として何をやって良いのかわからなかったので、コンプリート論文答練は良い勉強材料であったと記憶しています。

 司法試験に向けた学習について

<司法試験論文過去問マスターを受講して>

司法試験は完全解を求めにいくと時間がいくらあっても足りません。満足のいく答案は「絶対に」書けない、ぐらいのイメージで臨んだ方が実践的な練習になると思います。意識すべきは、問題提起の書き方や論点の網羅性の観点から不十分であっても、とにかく書き切るということです。また、周りが書いてくるであろう論点を漏らさないことも意識すべきだと思います。伊藤塾答案や再現答案のレベルは高すぎるのであまりあてにしていませんでした。それよりもゼミを組んだ周りの仲間がどれくらい書けているかの方を重視していました。

<短答式全国実力確認テストや全国統一模試を受講して>

最終的に競うことになる法科大学院生の実力がわかるという点でとても参考になりました。自分の大体の実力を把握しておけば、本番で必要以上に焦ることはなくなると思います。司法試験は攻めの答案を書いて高得点を狙うという性質のものではないので、順位を知り心の余裕を持っておくことは大きなアドバンテージになると思います。

<その他の講座を受講して>

秋島講師が担当している、百選で学ぶ重要分野完成講義を活用しました。民事系は判例べったりな問題が出てくる年が多いです。とりわけ民事訴訟法と商法はその色彩が強いと思ったので、この2科目を受講しました。百選は小難しい話が多いという印象があり敬遠していましたが、秋島講師の講義はわかりやすく、予備試験ルートの人には特におすすめだと思います。

<司法試験対策に必要となる勉強について>

本番は長丁場ですし、見慣れない論点が多い上に問題の難易度も高いため、非常にストレスフルです。思うように手は動かなくなってくるし、頭のキレも落ちてしまいます。そういう状況を想定しつつ、試験本番のつもりで過去問に取り組んでいくことが何より大事だと思います。よって短い時間延長などの甘えは極力控えるべきです。過去問に取り組みはじめると、分量の多さに愕然とします。しかし、粘り強く演習を重ねるうちに少しずつ時間配分の技術が身についていくので、諦めないで日々過ごしていくことが大事だと思います。

おわりに

詳細な受験情報を提供してくださったのは、やはり実績のある伊藤塾だからなせる技だと思います。人の心を救うという目標を達成するためには、法律家の資格はひとつの手段であると思っています。そのような武器を作るため力になってくださった両親や友達、伊藤塾の関係者の方には感謝の気持ちがつきません。自分の努力が微力に過ぎないと思わせてくれるほど、周囲のサポートは僕にとって大きいものでした。そして、自分が社会や周りの人に活かされているのだなと思う瞬間が幾度となくありました。この点でも素晴らしい経験を積めたのだな、としみじみ思います。今回の合格で、自分だけのものではなく他者のための自己でもある、という認識を深めた次第であります。