合格に必要なのは、基本的な知識とそれを応用する力、そして簡潔に書く力です。

\法科大学院ルートで司法試験合格 /
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I.Qさん:  法律事務所事務員
◆ 出 身 大 学 /専修大学法科大学院(未修)修了 学習院大学法学部卒業

司法試験入門講座本科生、司法試験演習秋生など

※プロフィールは、2020年度合格時点のものです。

はじめに

私は地域の特産品や地酒といった農林産品に関する業務に従事していました。司法試験を目指したのは仕事の経験と法曹資格を合わせたら面白い仕事ができると思ったからです。農林産品については、地域環境、地域振興、里山・里海といった大局的テーマが、具体的な法律の問題を切り離して議論されることが多いのが現状です。しかし、地域団体商標や地理的表示といった法制度が設計されたように、今後、法律は不可欠なファクターとなります。実務においても農林漁業あるいは六次産業化の事業のなかでトラブル対処術を超えた法律的解決の重要性は高まることが予想されます。こういった場面に法曹資格を有する者として参加できることにやり甲斐を感じました。

私の勉強法
<基礎学習について>

【私の基礎学習】司法試験に合格するためには、ごくごく基本的な知識を土台にして自分の頭で法律問題を考える力をもち、それを簡潔に書くことができれば足りると思いました。そこで、伊藤塾の「試験対策講座」シリーズのA、Bランク論点だけを繰り返して基礎力をつけました。当初は、Cランク論点や細かい知識についても読み込んでいたのですが、自分の頭のキャパシティでは理解し、文章化するまでに時間がかかりすぎると思い、重要な知識の取捨選択を心がけました。基本書や判例集は、一度試験対策講座を読んでみてわからない場合に辞書的な役割として使用するに留めておきました。また試験対策講座シリーズの該当箇所を読み込んだ後は、実際にその部分の択一式の問題を解いてみて、即座にフェードバックを得ることで学習速度が上げることができました。択一を解くことで自分がどの程度の理解であるかを把握することもでき、次に試験対策講座を読み込むときは、一度目では気が付かなかったことを発見することもあるため、どんどん基礎知識が深まっていることを感じました。ここで勉強した基礎知識を使った答案が筋を外さない答案の書き方につながったと思います。

 基礎学習を終えた後の学習

基礎学習を終えた後は、過去問学習と答練を主軸においた勉強をしていました。論文試験の過去問については、繰り返し出題されている箇所を重点的に練習し、その年にしか出題されていないレアな問題については、背後の理念だけをおさえておくようにしました。例えば刑事訴訟法の伝聞証拠は毎年のように出題されていたため重要な部分である証拠の推認過程を丁寧に勉強することを心がけました。他方でレアな問題は解答に至るまでの思考過程だけを学習するに留めておきました。また過去問学習をするときは手元に出題趣旨を置いておき、試験委員が何を求めているのかを把握したうえで解答するようにしました。択一式の過去問については、判例六法と問題だけを用意して問題だけ先に解いた後に判例六法を使用して自分なりに解説や解答を導いたうえで問題集などの解説を読むようにしていました。こうすることで自分の頭で考える力を培うことができたと思います。ただ民法については大改正があったので、判例六法だけではなく潮見講師の民法(全)や伊藤塾の基礎講座の民法テキストも参照しました。

 働きながらの学習方法について

時間を工面することに苦労しました。早朝に起きて早めに職場に行き勉強時間を確保したり、通勤時間中に講義を聴くなどしていました。伊藤塾では社会人のスケジュールにも合った日程を設定しているので、その点では助かりました。

司法試験に向けた学習について

ペースメーカー論文答練は過去問などの勉強で培った知識を試す場として利用しました。点数の良し悪しよりも、自分が学習したことを簡潔にアウトプットすることができていたのかを確認する場として大いに役立ちました。また自分が2時間の間で何枚くらいを書くことができるのか、答案構成の時間をどのくらいとることができるのか、未知の問題が出題された場合の対策をすることができた点も本試験対策につながり役立ちました。特に未知の問題については決められた時間の間で解く場というのはなかなか自分では設定することが難しいため、対策として有用でした。

<司法試験対策に必要となる勉強について>

司法試験対策として必要な勉強は、基礎的な学習とその学習で培った知識をもとに応用する力、これらの知識を簡潔に書く能力が必要になります。そのためには、答案を丸暗記するのではなく、解答に至った思考過程を学修することが大事です。実社会で生じる法律問題は無限にありますので、判例や答練を追い、知識を増やそうとする勉強方法は必要ではありません。基礎的知識を十分に理解し、未知の問題に対応したときに、2時間という時間的制約の中で何とか結論まで書くという思考を鍛えることが司法試験に合格するために必要となる学習だと思います。

 おわりに

伊藤塾では最新の問題や改正についても答練などで学習することができ、また試験の延期に際しては伊藤塾長などの方々が応援メッセージを出してくれ、試験を乗り切るのに役立ちました。また私は数回本試験に落ちているのですが、落ちても見捨てずに見守ってくれた家族や職場の方の存在が本当に有難かったです。孤独感に苛まれそうになったり、学習に行き詰ったときなどに、もうひと頑張りする力になってくれました。難しい試験ですが、本筋を外さない基礎的な知識があれば通る試験でもあります。最後まで諦めずに頑張ってください。