「完璧主義に陥らずに先に進んで」との言葉のおかげで、効率よく学習を進めることができました。

\ 法科大学院ルートで司法試験合格 /
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T.Hさん:明治大学法科大学院(既修)修了
◆ 出 身 大 学 /明治大学法学部卒業

受講講座
司法試験入門講座本科生+リーガルトレーニング、司法試験演習秋生など

※プロフィールは、2020年度合格時点のものです。

はじめに

私は学生の頃、自転車で停止していたにもかかわらず、相手の自転車による接触に関し損害賠償を請求されたことがあります。警察の方の協力の下調書を作っていただきましたが、私の主張は一切受け入れられず、相手の方の語るストーリーのみが反映されていました。理由を問う私に返した警察の方の「あなたはまだ子どもだが相手は大人だから」との趣旨の言葉に、ひどく絶望したのを覚えています。いじめを受けた経験もあって、小さいときから、人の置かれた立場によって、主張の受け取られ方が大きく異なることは承知していました。しかしそれでも、上記の言葉は私にとって非常に衝撃的でした。これがきっかけとなり、私はそのような社会の在り方に強く不満を覚えると同時に、立場に関係なく公平な視点から主張内容が評価される法律の世界に惹かれ、そんな世界で仕事をしたいと思うようになりました。

私の勉強法

〈基礎学習について〉

 基礎マスターの受講中、特に民事系科目では、講師の方のかみ砕いた親切な説明にもかかわらず、理解できないことが多々ありました。今だからこそ「非常によくまとめてくれていたのだな」と思えるのですが、それでも初学者の自分にとって決して容易ではありませんでした。しかし、講師やスタッフの方々がみな揃って「完璧主義に陥らずに先に進んで。それが最も近道。」という趣旨のことを語っていたことを思い出し、とりあえず講義のペースにはついていきました。理解できない箇所には理解できない旨の付箋を貼るだけにとどめ、すぐに次へと進む毎日でした。理解できない「謎」の山が築かれていくのは、正直とても怖かったです。しかし、結果的にはこれが正しかったのだとわかりました。大量にあった謎の山も、1周目が終わるころには少し減り、全体像を把握したあとの復習や問題演習によって、みるみるうちに数を減らしていきました。この「謎」は合格後の今でもなお残っていて複雑な気分ではありますが、それほどまでに全てを理解するのは難しいのだと実感しました。「完璧主義に陥らずに先に進んで」との言葉のおかげで、効率よく学習を進めることができたのだと思います。
論文マスターでは、講師の方の予習の指示に従い、基本的には答案構成を、指示があったものは可能であれば論述を行いました。当然、最初は体裁も守れないほどボロボロなものしか作ることはできませんでしたが、やっていくうちに若干の進歩がみられ、ある程度形になってくると、自分に不足しているものが明確になっていきました。この不足箇所が明確になってからは、非常に効率よく学習を進めることができ、論文の学習を楽しいとさえ思うようになりました。現時点で答案構成や答案作成は全然できないから、と考えてやらない方がいれば、それは非常にもったいないことです。できないながらも、基礎マスターで学んだ内容と条文とを照らし合わせて、自分の頭で論理を組み上げていくことがとても大切です。本番ではわからないと思うことの方が多いため、その前の段階で、わかることしかやらないという姿勢を捨てる必要があると思います。論文マスターは、正面からきちんと取り組めば、間違いなく合格に必要となる力のほとんどを身につけることができる教材です。もしそうやって立ち止まって取り組めていない方がいらっしゃるのであれば、勇気をもって問題と向き合っていただきたいです。

法科大学院での学習について

〈法科大学院別対策講座を受講して〉

 法科大学院は、司法試験合格を目的に授業をしてくれるわけではありません。そのため、学生には、授業を試験対策に活かすための努力が要求されます。しかし、法科大学院で扱う内容は、場合によっては非常に高度なものとなり、答案に反映しようとすると苦労することも多いです。しかし、基礎マスターテキストなどが基礎と応用の架け橋として機能し、うまく整理することができた結果、試験対策への転用を円滑に行うことができたと感じました。

司法試験に向けた学習について

〈ペースメーカー論文答練を受講して〉

 ペースメーカー論文答練では、ちょうどいい具合に、本番さながらに自分の頭で考えさせるような、典型的な問題からはちょっとずらしたところを聞いてくるいやらしさを感じました。しかし、このいやらしさにもかかわらず、結局は基本的な事項が欠けていると点数は伸びません。そして、基本事項を前提に、どの程度問題意識にくらいつけたかによって、点数に大きく幅がでました。そういった意味で、問題との向き合い方や悩みどころが、本番と非常に似ていたといえます。過去問に何度も取り組み、本番のように悩まされる問題に初見で取り組む機会をお探しの方にとっては、まさに最適なものだと思います。

〈その他の講座を受講して〉

 論文マスターゼミがとても良かったです。知識面はもちろん、それを書いたときにどの程度点数に影響が出るか、自分の答案のどこをどう改善する余地があるか、といった点について、非常にわかりやすく教えていただきました。ゼミ長は当時における直近の合格者であったということもあり、リアルな視点・相場観からアドバイスをいただくことができ、貴重な機会でした。ゼミ中に勉強の方針を固めることができたため、ゼミを終えてからもいい影響を受けることができたと感じています。

〈司法試験対策に必要となる勉強について〉

 伊藤塾生の多くははじめに基礎マスターを受講すると思いますが、それ以降において、漫然とインプットを優先するのはリスクが高いと感じました。まず問題演習に取り組むことで、何をインプットできていなかったのかを明らかにし、その獲得目標を狙ってインプットを行うことをおすすめいたします。具体的な獲得目標を特定せずに行うインプットは、あたかも本を読むかのように楽しいものですが、時間がかかる一方で、有益な知識は意外と修得できません。また、はじめは論文マスター等の問題演習は難しく感じられますが、できないことを前提に「なにができないのかを明らかにするために行う」という意識を持っていただくと、取り組みやすくなるかと思います。

おわりに

最初こそやる気に満ちていたものの、法律の学習は難しく、加えて、司法試験では長期的な学習が必要であるがゆえに見通しが立ちづらかったため、想像していたよりもずっと苦戦してしまいました。しかし、要所要所で伊藤塾がきちんと勉強の方向性を示してくれるうえ、伊藤塾の実績の高さがその提示内容に信憑性を与えてくれるため、なんとか勉強を続けてこれたのだと思います。そして、不安に苛まれがちな受験勉強において、今やっている勉強方法は間違っていないんだと信じることができるというのは、自分にブレーキをかけるきっかけを作らずに済むという意味でも、非常に大きかったと思います。本当にありがとうございました。