予備試験は誰もが公平に法曹界へ参入できるルート。このルートの開拓は私の使命です。

社会人・既卒者

 X.Xさん(39歳)

早稲田大学理工学部卒業
【受 講 講 座】
予備試験シフト旧司択一合格パック、短答模試、口述模試 など
 
※プロフィールは、2011年合格時点のものです。



はじめに

 昨年まで旧司法試験に挑戦し、最終合格までもう少しのところまで来ていましたので、その努力を無駄にはしたくなく、そのまま予備試験の受験にシフトし、司法試験の合格を目指すことにしました。もっとも、予備試験は旧司法試験と異なる科目もありますので、独学でやるにはリスクが大きいと思い、伊藤塾の講座を利用しました。  

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得について

 旧司法試験での受験経験がありましたので、予備試験で新たに加わった行政法と法律実務基礎科目の基礎知識の修得に重点を置き、基礎マスターからしっかりと勉強をしました。特に、法律実務基礎科目はどのような試験になるのか何の情報も持っていませんでしたので、ここは受験指導校の分析を全面的に信頼するしかないと考え、伊藤塾の指導に完全に任せてみることにしました。実際に法律実務基礎科目の基礎マスター講座を受けてみると、意外にすんなりと理解できました。これは、今まで勉強してきた法律科目の延長線上にあるからだと思います。実際に受験をしてみて、基礎マスターのレベルで合格に必要な知識は十分に得られると感じました。

短答式試験対策について

 旧司法試験の短答式試験に合格されたことのあるレベルであれば、憲法、民法、刑法の基礎知識について不安はないと思います。むしろ、行政法や民事訴訟法、刑事訴訟法、商法について細かい知識が問われるので、短答式試験対策用にこれらの科目の知識を修得する時間を多く設けたほうが良いと思います。アウトプットとしては、新司法試験の過去問をひたすら解いて、答練を受講することで十分だと思います。

論文式試験対策について

旧司法試験で勉強していた科目はある程度対応できると考えて、今まで勉強をしたことがなかった行政法に重点を置くなど大胆なメリハリをつけました。そして、行政法はB評価でも構わないつもりで基礎的なことだけに絞り込んで知識の修得に努めました。具体的には、論文マスターを受講したうえで、「問題研究」の問題を答案構成し、基本問題の流し方を確認しました。また、予備試験を実際に受験して感じたこととして、旧司法試験の範囲であった六法については、旧司法試験の過去問(平成18年度以降)を解いてみるのが効果的だと感じました。

法律実務基礎科目対策について

論文式試験の学習の中心は法律実務基礎科目でした。法律実務基礎科目は、短答式試験に合格できた人でも勉強経験の浅い人は手が回ってないところでしょうし、旧司法試験の受験経験者でも法律実務基礎科目に関しては準備が十分ではないと思いましたので、法律実務基礎科目の出来が合否に大きく影響を与えると考えました。法律実務基礎科目については過去問がありませんので受験指導校の答練を受講し、その問題を繰り返し解いていました。また、要件事実の勉強をしたおかげかもしれませんが、旧司法試験で苦戦していた民法の論文式試験の成績が上がりましたので、法律実務基礎科目の勉強は他の科目への相乗効果があると思います。さらに、口述試験の対策にもなりました。

一般教養科目対策について

(1)短答式試験対策について
法律科目で8割位を得点すれば合格できると考えて、一般教養科目対策はほとんどやりませんでした。時間もないので、確実に点数につながりそうな論理問題を勉強し(半日)、あとは答練を受けて、自分が得点できそうな問題のピックアップの仕方を確認する程度でした。一般教養科目は司法試験とのバランスを取るための「揺さぶり」に過ぎないと思いますので、法律科目で磐石な基礎力をつけることが極めて重要だと確信しています。 
(2)論文式試験対策について
論文式試験についても答練を受けたくらいでそれ以上の対策はとりませんでした。大きくミスをしないため最低限の解答作法について、伊藤塾の一般教養対策講座を参考にしました。とにかく評価でEやFをとらないことだけを念頭に考えていました。

口述試験対策について

以下の3つの対策をとりました。(1)司法試験の短答式試験過去問(民事訴訟法、刑事訴訟法)を解くこと、(2)法律実務基礎科目の復習(特に要件事実)をすること、(3)口述模試を受講することです。8月頃から徐々に勉強を開始し、論文の結果発表までに(1)と(2)を済ませておきました。特に(1)の勉強をしておくことは口述試験対策だけでなく、次年度の司法試験対策に直結しますので効率的です。また、伊藤塾の口述模試を受講した人を対象に呉講師の要件事実に関する特別講義を受講させていただきましたが、これは口述直前期の総整理として大変役立ちました。

旧司法試験との関係について 

直近の旧司法試験で短答式試験に合格していたこともあり、憲法、民法、刑法について不安はありませんでしたので、短答式試験の科目ではなかった民事訴訟法、刑事訴訟法、商法に絞って集中的に勉強しました。その中でも商法は旧司法試験の口述試験科目でもなく、細かな知識をつける機会がなかったので、本当に苦労しました。論文式試験については、旧司法試験の範囲だった六法はそのまま予備試験に通用しますので、行政法と法律実務基礎科目を集中的に勉強しました。

仕事、家庭との両立について 

私はいわゆる一般企業のサラリーマンですので、平日の日中は仕事に時間を取られてしまいます。そこで、平日は出勤前の2時間、帰宅してから3時間位の勉強時間を確保するように努めました。特に、急な残業などが入らない朝の2時間は確実に確保できるので一番大事な勉強に充てていました。また、私は二児の父親として小学校の保護者参観や運動会など家族との時間も大切にしておりましたので、休日も十分に時間が取れるわけではありませんでした。そのため、記憶は通勤電車の中で済ませる、インターネット講義の倍速再生を活用する、自分の不得意分野だけに勉強の範囲を絞り込む、といった工夫をすることで効率的な勉強を心掛けていました。

司法試験の準備として 

短答式試験は予備試験と司法試験はほぼ重なっていますので、司法試験の短答式試験の過去問を中心に勉強をしていました。これは予備試験の口述試験対策にもなります。  

合格後を見据えて 

社会人として企業の現場を多く経験してきましたので、これらの経験を活かして、企業活動を支えていく弁護士になりたいと思っています。日本の企業が元気になることで、そこで働く従業員やその家族などを幸せにすることが私の目標です。

最後に 

 私は、法科大学院に進む途ではなく、万人に公平な受験資格を与える旧司法試験の合格にこだわって平成22年度まで受験してきましたが、悔しくも平成22年度の受験も論文式試験において、あと一歩のところで敗れてしまいました。正直、新制度の理不尽さに不満もありましたが、「このまま新制度に対する不満だけを言っていても負け犬の遠吠えにしかならない、予備試験がどんなに厳しい試験になってもこれを突破して、司法試験に上位で合格することが今まで努力してきた自分に対する誠意ある態度だ」と気持ちを切り替えて予備試験合格を目指し、勉強を再開しました。幸いにも今年度の予備試験に合格できましたので、今は、来年度の司法試験に上位で合格し、予備試験ルートで勉強している者の底力を証明したいと思っています。予備試験は若くて優秀な方や社会人などの経験豊富な方が公平に法曹界へ参入できるルートです。何としても司法試験で好結果を残し、予備試験ルートの開拓に繋げることが私の使命だと感じています。