必要な知識の8割5分から9割が載っているテキスト。基礎マスターを信じたことが合格につながりました。

社会人・既卒者

 Eさん(33歳)

東京大学法学部卒業
【受 講 講 座】
司法試験入門講座本科生、コンプリート論文答練、論文直前答練、短答模試、口述模試、憲民刑集中講義 など
 
※プロフィールは、2011年合格時点のものです。



はじめに

私が伊藤塾に入塾したのは、大学4年の秋で、学生時代の同級生たちよりずいぶん遅い時期でした。というのも、私はそれまで法律家になる気持ちは全くなく、企業への就職活動をしていたからです。しかしいまひとつ将来やりたいこともはっきりせず、就職超氷河期でもあり、就職活動は順調に進みませんでした。そのような状況下で自己分析をくりかえし、またいろいろな企業の方と出会うなかで、法律を手に社会的弱者を守り社会正義を実現する弁護士の仕事に魅力を感じるようになりました。そこで、司法試験受験を決意したのです。そして多くの同級生や先輩が伊藤塾に通学し大学3年・4年で合格する姿をみていたので、迷わず伊藤塾への入塾を決めました。

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得について

私は法学部出身ですが、お世辞にも真面目な学生とはいえなかったので法律についてはほぼゼロからのスタートでした。したがって、試験での出題を踏まえたうえで構成された基礎マスターテキストを信じ、勉強の基礎としました。繰り返し読み込み完璧に理解し、必要な部分の暗記
に努めました。実際今年の論文式試験で必要な知識の8割5分から9割くらいは基礎マスターテキストに載っているものと感じました。
 
このことは逆にいうと、基礎的なことなのに本番の問題の形で問われると法律上の問題点を完璧に見抜き、的確に答えることは難しいということです。基礎的なことを問われているにもかかわらず皆が完璧に答えられるわけではないからです。基礎マスターテキストを完璧に理解すれば受かる、と今では自信をもっていえます。 
しかし、私はこのことが分からなくなった時期がありました。少し過去のことにさかのぼると、私は勉強を始めて基礎マスターの学習をしたおかげで旧司法試験受験2回目の平成16年に初めて短答式試験に合格し論文式試験を受けることができました。しかし、不合格となり、絶対合格を誓った平成17年に短答式試験で失敗してしまった後、落ち込んでしまい、少し勉強に対する集中力が落ちてしまいました。勉強時間が減り、基礎マスター受講期に積んだ基礎知識があやふやになっていき法律の勉強がわからなくなってしまったのです。ある程度勉強が進んでいるという主観だけはあるものですから、基本書に手をだしたりして、勉強の幅をひろげすぎ、わけのわからない状態になってしまいました。この暗闇状態は2年ほど続き成績も低迷しました。
そんな私に希望の光を与えてくれたのは、本田真吾講師の憲民刑集中講義でした。合格順位1位をとった本田講師が基礎マスターの有用性を述べていらしたのをみて、もう1度基礎マスターを信じて頑張ろうと思ったのです。この講義はアウトプットを意識しつつ基礎マスターテキストを復習するもので、まさに、基礎的なことなのに試験で問われるとわからなくなる私の弱点を補強するものでした。この講義を聴き、Aランク論点が論文式試験でどう問われるか、完璧に答えられるか、意識しつつ基礎マスターテキストを読み込みました。また、重要度が高いものはきちんと書けるかをチェックしました。
このように、もう一度基礎マスターを信じて勉強をやり直したことが今年の予備試験合格につながったと思います。

短答式試験対策について

短答式試験については、司法試験の過去出題された問題を解き、全ての肢について正誤の理由までわかるまで繰り返しました。また間違った肢に関する条文や判例知識については判例六法にマークをいれ毎日一定時間マークをした部分を中心に読み込みを行ないました。旧司法試験に比べれば、単純な知識問題が多くパズル的要素もないので条文の読み込みは有効だったと思います。旧司法試験経験者の方であれば、憲法、民法、刑法は問題ないと思いますので商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法について前述のような勉強をすれば得点できると思います。

論文式試験について

私は、基礎マスターでインプットしたことでも、問題として問われると上手くこたえられないという弱点があったので、問題演習には特に力をいれました。
まず、「問題研究」を繰り返し解きました。また、答練もできるだけ多く受講しました。そして、このときに、基礎マスターに載っているのに、論文式問題として問われたらわからなかったことについて、基礎マスターテキストの該当ページに問題ではこう問われるというメモをしました。このメモによって次に基礎マスターテキストを読む時にアウトプットを意識した勉強ができました。また、問題を解いて復習をした後、もう一度なにも見ないで答案構成ができるかチェックするようにしました。このように、しつこく、粘り強く勉強しました。

法律実務基礎科目について

法律実務基礎科目については、全く未知の科目であったので、岡崎講師の基礎マスター法律実務基礎科目を受講しました。岡崎講師の講義はポイントがおさえられていて大変わかりやすかったです。この講義の教科書だった問題研究要件事実、紛争類型別要件事実、民事訴訟手続きの基礎、刑事訴訟手続きの基礎を繰り返し読みました。おかげで本試験でも実務基礎科目はAがとれました。実務の勉強により無機質だった民法、民事訴訟法又、刑法、刑事訴訟法の知識が有機的につながり、勉強が楽しくなり理解も深まりました。これから、予備試験をうける方も負担が増えると思わずに、民事、刑事のこれまでの勉強の潤滑油になると思って取り組んでください。

一般教養科目対策について

私はもともと文系なので、世界史、日本史、文学では確実に点を稼ごうと思い、高校の教科書をざっと読み返しました。また論理は答練で少し練習すれば点が取れると思います。数学も簡単なものなら解くつもりで行列や確率は高校生用の薄い問題集で練習をしておきました。さらに、英語も毎日一つくらいは長文を読むようにしていました。自分の得意不得意にあわせ対策をとるべきだと思います。
論文式試験については、特に対策はしていません。論理的な文章を書くということについては法律の論文を書くことでトレーニングしていたので、問題文に沿って、論理的に書くことを心がけた程度です。

口述試験対策について

夏頃から、民事については問題研究要件事実や紛争類型別要件事実を読み直したりしていました。刑事については刑事訴訟第1審手続きの概要を読みながら条文をひいていました。
論文式試験合格発表後は、口頭での試験に強い苦手意識があったので、口述模試を積極的に受けました。伊藤塾の口述模試では細かな採点表をくださり、口述試験対策に役立ちました。
また、口述模試受講者限定の本田講師と呉講師の口述直前解説講義は民事、刑事両科目について短時間に効率的に基礎を見直すことができました。直前期は精神的にもきつくこの講義がなければ時間を無為に過ごしていたと思います。  

旧司法試験との関係について 

予備試験の出題傾向がこれからどうなっていくかはわかりませんが、旧司法試験、特に終盤の合格者が激減してからを経験した者にとっては、予備試験の問題は少し楽に感じられると思います。 知識の面で旧司法試験受験者は優位にあると思います。問題はいかに基礎的なことで足元をすくわれないかということだと思います。基礎的なことについて完璧に理解しているか、答られるかを、今一度チェックすることが肝要です。
そして、新しい科目について早く基礎をおさえることが必要だと思います。
 

仕事、家庭との両立について 

私の場合は勉強と、家事の両立が必要でした。外で仕事をされている方に比べれば時間に余裕があったと思いますが、それでも時間がくれば食事の支度などをしなければなりません。したがって、自分の時間をなるべく増やすよう、規則正しく生活しました。そして、勉強時間は集中するよう努めました。また、勉強をできない時間は息抜きと考えるようにし切り替えを上手くすることを心がけました。

司法試験の準備として 

予備試験の短答式試験は司法試験とほぼ共通であるし、論文式試験も科目によってはミニ司法試験という形式でした。また、口述試験の勉強で条文をたくさんひいたことは次の司法試験の短答式試験対策になったと思います。この予備試験は司法試験のためのステップアップ試験であったと思います。したがって、常に司法試験対策として予備試験のための勉強をしていました。

合格後を見据えて 

図らずも受験生活が長くなったおかげで、私はこうなりたいという弁護士像をじっくりと考えることができました。私は地方在住なのですが、地元で自分の事務所を開き名もなき人々の正義のために身を尽くしたいと思います。
東京などの大都市と違い、地方では弁護士は不足しています。法的に守られるべき立場にいるのに、権利が侵害されていることにすら気付いていない人が多くいます。そのような人の幸せのために声になり力になりたいと思います。そのために、法律の勉強に熱意を持って取り組みたいと思います。

最後に 

 ここまで来るのに私はとても長い時間がかかってしまいました。
私の体験記は短期合格を目指す学生の皆様には物足らないでしょう。でも、もしも、私と同じように、なかなか合格をつかめない方がいれば、伝えたい。ねばって、ねばって、諦めずにがんばればかならず合格できる、と。
そして、私は必ず来年司法試験に合格しようと思います。