会社員・社会人として働きながら司法試験を目指す方に、有益な情報が満載

 

会社員をしながら司法試験予備試験に合格。限られた勉強時間、これと決めた教材を使い切ってください。

社会人・既卒者

 L.L さん

国公立大学文系部卒業
※プロフィールは、2012年合格時点のものです。


はじめに

私は大学卒業後、会社に就職して会社員を始めましたが、その中で仕事だけしているのではなく、何か自分のスキルアップができることはないかと思い、もう一度司法試験を受験してみようと思い立ちました。当時、私はどうも憲法に苦手意識があったので、伊藤塾長が憲法に情熱を持っている伊藤塾がいいかな、と思い、会社員になってから初めて伊藤塾の門を叩きました。ただ、仕事している身でしたので、通学ではなく、在宅受講を利用して基礎マスターなどを受講しておりました。
 その後、紆余曲折を経て、会社員をしながら司法試験予備試験に合格をしました。以下、特に社会人で予備試験を受ける、受けようとされる方の少しでもお役に立てればと書かせていただければと思います。 

私がとった勉強方法 

基礎的な法知識・法理論の修得について

予備試験の場合、各科目の「具体的なイメージ」「全体像」がつかめるかどうか、がポイントになるかと思います(基礎マスターの中で当時、伊藤塾長が「手の平に乗る」というお話をされていましたが、本当に各科目が手の平に乗るぐらいの大きさになる感覚です)。その点で、伊藤塾の基礎マスターはこの「具体的なイメージ」「全体像」をつかむために非常に役立つかと思います。
 この、基礎マスターの知識をベースにして、繰り返し読んでいき、覚える部分だけ別途カードを作って覚える、という方法をとっていました。
 社会人の方は、学生と比べてお金もありますので、目移りして色々な本が欲しくなります。また、「ロースクールでどんなことをしているだろう」と気になって、色々読みたくなります。ただ、中途半端にしか理解できない本を読んでも、結局のところ意味はありません。試験の緊張した場では本当に自分自身にとって「常識」になった知識しか使えません。限られた時間しかありませんので、「これ」と決めた教材を理解し使い切ることに注いだ方がよいと思います。

短答式試験対策について

短答式試験対策としては、司法試験の過去問集を「解く」のではなく、「読んで」いました。読むことで、どの範囲の知識をどのような方法で聞かれているか、ということを確認していました。実際に「解いて」みるのは模試の場だけで十分かと思います。

論文式試験対策について

論文式試験対策としては、こちらも短答式同様、過去問の復習を中心にしていました。ただ、予備試験自体ではまだあまり過去問がありませんので、六法は旧司法試験のものまで範囲を広げて復習していました。(1)の読み込みと過去問復習で知識を身につけて、現場での対応は模試で学んでいました。伊藤塾の全国公開論文模試は、そういった現場対応をさせていただけるような問題(知識だけでは対応できない問題)を出していただけるので、よかったと思います。
 ただ、模試の結果についてはあまり一喜一憂されないでよいかと思います。重要なのは、問題文の事実について自分として十分考えることができたか、考えたことを表現できたかなので、それをチェックする場として用いていただければと思います。

法律実務基礎科目について

民事・刑事手続自体は訴訟法でやっている部分でしたので、それ以外の要件事実や法曹倫理を中心に勉強していました。また、法律実務基礎は具体的なイメージをつかむのが難しい科目ですので、刑事訴訟実務の基礎といったケースに即して説明した本を中心に使っていました。とはいえ、実際に訴訟をやってみないと本当の姿を知ることはできませんので、「イメージ」がつかめれば十分だと思います。

一般教養科目対策について

一般教養科目については、特にこれといった対策はしていませんでした。社会人の方は、何かしら今されている仕事に関連してわかる分野があるかと思います。短答式では、この仕事と関連する分野の問題を中心に、「前提知識のいらない」問題を選択して乗り切っていました。
 ただ、特に短答式については、あまり一般教養科目でなんとかしよう、という発想は持たない方がいいと思います。やはり、こういった知識は学生の方のほうが多いので、「足を引っ張らなければいい」ぐらいの感覚のほうがよいように思います。

口述試験対策について

口述試験対策では、論文式試験準備で用いていた、刑事訴訟実務の基礎といった本を利用して、訴訟実務手続のイメージがつかめるよう、努めていました。実際、今年の口述試験の刑事実務基礎では、証拠調べの具体的な手続がどのように進められるか、かなり詳細に問われました。また、訴訟手続の復習には、伊藤塾で推奨していた、訴訟法の短答式の過去問を利用していました。
 ただ、今年度の口述試験では、実体法の知識も問われていましたので、民法・刑法の短答式の過去問も読んでおいたほうがよいように思いました。

伊藤塾の学習と仕事との両立について 

仕事の忙しい時は勉強時間が全く取れない、ということも多々あると思います。立場上、勉強するために仕事しない、ということは、難しいと思いますので。 そのため、「できるだけのことをやる」「できないことはしない」という、一種の割り切りは必要かな、と思います。「どうしてもここまでやるんだ」と事前に決めて無理をしてしまうと、一時的にははかどるかもしれませんが、長い目で見るとやはり勉強は進まないのかな、と思います。学生の方と比べると、使える時間はかなり違います。ハンディがあることを認識して、そのうえでそのハンディを楽しむぐらいの気楽な感じで受けるほうがいいのではないかと個人的には思います。

司法試験受験の準備として 

とりあえず、論文式試験で問題・時間が長くなりますので、その形式に慣れることが必要かなと思っています。2時間2通、という形式には慣れていますが、2時間1通という形式はまだ答案を書いたことがありませんので、できるだけ答案を実際に書いてみて、慣れていこうと思います。

合格後を見据えて 

これまで会社員としてやってきましたので、その中で「弁護士資格をもった会社員」として何かこれまでと違う付加価値をつけられないか、ということを考えています。法廷で、ないし訴訟で、という場以外で、企業という組織の中で、弁護士資格をもった会社員ができることは色々あるのではないかと思います。

最後に 

司法試験予備試験に合格した、といっても、単に司法試験の受験資格を得ただけにすぎません。司法試験に受からない限り、意味のないものです。ただ、会社員にとっては夜間のロースクールに行く、ないし退職・休職してロースクールに行く方法を除けば、現時点では、司法試験を受験するための唯一の方法です。せっかくいただいたチャンスですので、有効に活用したいと思います。

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