予習復習をする習慣をつけ淡々と勉強に打ち込むことで基礎的な知識の定着、理解ができます。
K.Iさん(25歳)
関西学院大学法科大学院(既修)修了
◆出 身 大 学/関西学院大学法学部卒業
◆受 講 講 座/入門講座基礎生、基礎マスター労働法、最新判例講義
※プロフィールは、2010年合格時点のものです。
はじめに
私が弁護士を志したのは、私の身内に弁護士がいるのですがその方に対する尊敬・憧れから弁護士になりたいと考えるようになったためです。その方はいわゆる町弁といわれる市民の皆様にリーガルサービスを提供する先生で、公益活動も積極的にされる先生でした。先生とお話をする中で、弁護士に魅力を感じたのがきっかけです。
私が伊藤塾に入塾したのは大学2回生の夏前でした。当初は3回生くらいから勉強を始めようかと楽観視していましたが、尊敬する先輩から早めに手をつけたほうがよいと指導され、2回生での入塾を決意しました。私の大学では司法試験を目指す学友がごく少数で、情報がほとんどありませんでしたが、当時、大阪梅田校で呉講師のライブクラス(20期)が開講されることを伊藤塾のパンフレットで知り、入塾しました。ライブクラスを選択したのは、私が中高大学とエスカレーター校で受験勉強に全く接してこなかったため、勉強をする習慣がない生活でしたので、講師と直接接する受講スタイルでないとまず続かないと自覚していたからです。そういう意味でライブクラスがちょうど開講されたことは大変恵まれていました。案の定、呉ライブクラスでは、いい意味で厳しく指導され、甘い考えからの意識改革に直結しました。呉講師にお会いできたこと、そして呉クラスで同じ目標をもったかけがえのない友人に出会えたことが、今の合格につながっていると断言できます。
なお、あらかじめ申し上げますと、私が伊藤塾で勉強したのは主に大学時代で、ロースクール時代はロースクールのことで手いっぱいで受験指導校の利用はしていません。
私がとった勉強方法
基礎的な法知識・法理論の修得
基礎的な知識の確立は、呉クラスの講義で行いました(行政法、選択科目を除きます)。呉講師が指導されるように、全講義に出席すること、リアルタイムで講義についていく努力をすること、当たり前にまじめに予習復習をする習慣をつけること、淡々と勉強に打ち込むこと、これらを実践するように心がけて受講すれば講座終了時には想像以上の高いレベルでの知識の定着、理解ができます。具体的な勉強の手段として、大学3回生の頃の呉講師の論文マスターと同時併行で、自分のノートをまとめるという勉強方法をとるようになりました。
私は講義中の説明と本の活字で「理解」はできるのですが、当時は、「読んで暗記」する作業が不得手で、手を動かす、口に出すという暗記方法が向いていると感じるようになりました。そして各科目のノートを作るという手段をとることにしました。その際に気をつけたことは、はじめから完全体を作ろうとしないことです。ノート作りはあくまで「手段であって目的ではない」のです。わからない部分は「わからん」や「?」マークと疑問を持った「日付」を書いておいて、次々に記憶の作業を進めていくようにしていました。また、綺麗に作る必要もありません。自分が読めれば十分です。そして自分で調べてもわからないことがあれば、次週に講師や友人に質問して、解決すればそれを書き込むということを繰り返しました。これは、ロースクールに入学してからも同じで、ロースクールの学者・実務家の先生方から教わったことや気になったことをその都度書き込み、択一の勉強、論文の勉強、ゼミで得た知識や考え方もその都度書き込みました。
そして、各項目ごとに情報を1ページに集約することを心がけ、何度も何度も書き直し、直前期に短時間で繰り返し見返せる自分のノートを作りました。
短答式試験対策について
短答式は、憲法・民法・刑法は大学時代に択一マスターを受講したのが知識の根底にあります。呉講師が旧司法試験の択一試験を受けるよう推奨されていましたので、受験に向けて勉強しました。ちなみに私は刑法の事務処理が本当に苦手で大学3回生4回生と2回受けて2回とも刑法で落ちています。
新司法試験の短答式対策は既修者コース2年目の夏休みから始めました。はじめに直近の過去問を除く過去問を時間を計って解きました。憲法・民法・刑法は旧司法試験の貯えもあり8割とれたのですが、商法・訴訟法・行政法が5割から6割程度の出来でした。ですからこれら4法だけを中心に過去問集・問題集を夏休みのうちに解きました。短答式はやればやるだけ結果に反映される分野なので、夏中に合格ラインに持っていくことができます。短答式の配点が下がったので、短答式を300点取るという勉強目標は立てませんでした。なので、あまり深入りはしていません。試験直前の3月に、残しておいた直近の過去問を時間を計って解きました。
論文式試験対策について
全科目共通で、論文式は基礎知識の正確な理解・記憶の重要性を痛感する分野です。私がいたロースクールは全科目共通で、実務家の先生方の授業がとても実のある内容でしたので、新司法試験に関して特別何かをしたというより、ロースクールの授業をただひたすらまじめに予習復習し、行政、民法、民事訴訟法、労働については基本書を熟読し、百選を繰り返したというのが論文対策ということになります。
ただ、授業では実務家ならではのかなり高度な議論もしますし、基本書もかなり行間を読む作業が求められますが、それについていく法律家としての基礎体力は、呉クラスで得たところが極めて大きいです。
公法系については、憲法・行政法の正確な知識理解だけでなく、社会常識・一般常識を忘れないことが大切と思います。リアルタイムで起きている社会問題や、様々な視点を知るために、新聞の社説や投稿欄を読むようにしていました。多様な意見に触れることは公法系に関しては極めて重要であると感じました。
民事系に関しては、新司法試験では要件事実が必須です。
しかも受験生は誰もができるので点を確実に取っていかないといけないところです。また、基本的な知識を前提にその場で考えさせるという問題が多いので、民事系では特に基本的知識の正確なアウトプットが要求されます。ですから、問題集などで、「考える」学習が特に重要だと思います。
刑事系では、刑法に関しては呉クラスの頃に修得したことがそのまま新司法試験で通用しました。それだけ基礎マスター段階での学習が重要であると実感しています。
あと、呉講師がおっしゃっていた言葉で「はじめからトップスピードで」という言葉がありますが、その通りです。
早く書くことは論文に受かるためのスキルとして不可欠です。現場では3日間「書く作業自体」が想像以上に手や腕の負担になってきます。書く筋力作りを早い段階でしてください。
受験勉強で必要と感じたこと
特にロースクールで感じたことですが、ゼミや勉強会などをする人が多かったように感じます。これ自体は多様な考えを知るためにもいいことなのですが、あくまで自学自習が大原則であることを失念している人が少なからずいたように思います。現に周りで合格した人のうち合格するのが意外であると驚くような勉強をしていた人は一人もいません。
授業やゼミはあくまでもサブ的なものですので、自分で正確な理解を目指し知識に穴ができないように計画を立てて自学自習する大原則を忘れないでください。学習計画は人の性格によってまちまちです。私の場合、分刻みの計画は立てることができませんでしたので、この日はこれをするといった大雑把な計画を立てていました。あと、計画は学習進度や理解との兼ね合いで逐一変更していました。
もう一点、常に上を見る姿勢も大切です。自惚れは自身の成長を止めてしまいます。実践することは難しいのかもしれませんが、常に謙虚に学ぶ姿勢を忘れないでください。
最後に
司法試験の勉強は自分との闘いです。昨日の自分より成長するために努力すれば学力のみならずメンタルも鍛えられます。本試験会場ではメンタルがものをいうときもあります。普段の勉強の時から、しんどいと思ったところからあと10ページやる、というように自分を追い込んでみることも有益だと思います。これから勉強を始められる皆様、どうぞ謙虚に学ぶ姿勢を忘れず、体調に気をつけて勉強に励んでください。
皆様の合格を心よりお祈り申し上げます。
(2010年11月・記)