法律の全貌、試験のために勉強する範囲を知ることができた伊藤塾の講義は有益でした。
T.Uさん(30歳)
大阪大学法科大学院(未修)修了
◆出身大学/東京大学法学部卒業
◆受 講 講 座/入門講座本科生
※プロフィールは、2010年合格時点のものです。
はじめに
小学校の頃の、「弁護士」ってかっこいいな、なりたいな、という夢がきっかけです。伊藤塾に入塾したのは、大学2年のときでした。最初は、何もわからない状態だったのに、体系マスター講義で法律の全貌を教えていただき、試験のために勉強する一応の範囲がわかり、安堵したのを覚えています。
私がとった勉強方法
基礎的な法知識・法理論の修得について
法律の勉強はイメージがしにくいので、表現の自由にしろ、債権者代位にしろ、なぜそれを勉強するのかがわからない状態でした。かといって、判例の事案は複雑で、どうしても瑣末なところに目がいってしまううえに、高裁の事実認定は頗る読み難いので、どうやって法律が活かされるのかがつかみにくく、苦労しました。
そこで定義や論証などはとりあえず打ち棄てて、事案をイメージするところから始めました。結果的に、短期合格には弊害だったかもしれませんが、将来的に自分でイメージできないことを長々と論証してもクライアントには何の参考にもなりませんから、それでよかったのではないかと思っています。
そのため、基礎理論については、「新入門講義テキスト」(当時)よりも、講師の講義録をメインに使って勉強しました。
短答式試験対策について
【公法系】判例が重要なので、市販の判例集と最高裁のウェブサイトを用いました。
【民事系】条文の細かい知識が頻繁に問われるので、六法をひたすら読みました。
【刑事系】おおむね民事系と同じですが、条文の量が少ないので、自分で条文を声に出して読んで録音し、iPodに入れて聴いていました。
条文は、択一マスターのテキストを用いていましたが、憲法以外、大概改正されてしまったので、それからは六法の読み込みを行いました。東大法学部の試験では、書き込みのある六法の利用が禁止されていますが、それは逆にいえば、六法に書き込んで勉強することが有用だ、と大学が公式に言っているのと同じことです。そこで、六法に直接いろいろな情報を書き込みました。
また、憲法・民法・刑法については、論文過去問集を何度かやりました。
論文式試験対策について
【公法系】憲法は、大学院の授業が大変よかったので、その復習をしました。
また、教授の著書のほか、芦部先生の法教の演習などを2~3回ずつ繰り返し復習しました。
行政法は、塩野先生の基本書を読み込みました。論文問題は、たいてい行政訴訟なので、各要件をパターン化して覚えるようにしました。結果的には、住民訴訟が出る、という大どんでん返しが待っていたのですが…
【民事系】民法は、内田先生の基本書の設例を全部自分で考えて、構成してみました。その他、伊藤塾の教材とにらめっこを繰り返しました。
会社法は、100問を用いたほか、市販の演習本を用いました。
民事訴訟法は、高橋宏志先生の重点講義と伊藤眞先生の基本書を理解するように読みました。「新入門講義テキスト」の付録の定義集が、とても役に立ちました。
【刑事系】小林・島田先生の事例で学ぶ刑法と、水谷先生の疑問解決を読みました。
刑法は、唯一、伊藤塾より大学の授業が先に始まったので、西田刑法に馴染みがあったものですから、教科書と大学の講義録ばかり使って勉強しました。
刑事訴訟法も、民事訴訟法同様、定義集をマスターするように努力しました。
全体を通して、問題を解きながら、伊藤塾の「論証パターン集」を簡易化したものをたくさん作って、暗記するまで繰り返し読み込みました。どう表現するかを考えながら勉強することで、日本語らしい日本語で覚えていけたと思います。
直前期の対策について
自分で使ったマメタンを何度も繰り返しました。直前は非常に不安だったので、過去問を読み、「法学セミナー」(日本評論社)や、試験委員の採点講評を見つつ、1日1問1時間と決めて、答案構成を行いました。
一番最初に伊藤塾でいただいた、体系マスターを、法改正は無視して読みました。各法のエッセンスがつまった、体系マスターを読むことで、知識が最終整理されたと思います。
伊藤塾の受講スタイルとフォロー制度
私は通学受講をしましたが、正直、大学生の間は、キャンパスライフそのものが楽しくて、不真面目な塾生だったと思います。しかし講師の方々は、そんな私が突然疑問を持って講義後に押し掛けても、親切に対応してくださいました。それがライブクラスの妙味だったのではないか、と思います。
法科大学院での受験対策、伊藤塾の活用
法律の勉強は、外国語を学ぶようなもので、小学4年生が分数や少数を学ぶのとほとんど変わりません。そこで、インプットには、どんなものなのかをイメージすることが必要ですが、法科大学院の授業は、法学部のそれよりは適しているかもしれません。しかし、法科大学院の授業は、授業の専門家がするものではないので、わかる楽しさや、問題をとける喜びはあまり期待できません。 そこで、ゼミのほか、自分で、肢別本や論文の問題集・定義集に穴埋めを作って、その喜びを感じることで、モチベーションを維持しました。その際、伊藤塾のテキストや問題集が手元にあることは、比類ない力となってくれたと思います。
そして、このモチベーション維持法が、同時に、アウトプットの練習にもなっていたこと、それが、アウトプットを意識した勉強法であることは、言うまでもありません。
学習スケジュールの管理について
手帳に、今日はなにをどこまでやったのかを毎日日記風につけ、最後に、読了したテキスト、解き終わったテキストの一覧をつくり、横に正の字を書いていきました。正がたまるにつれ、感慨もひとしおでした。
合格後に必要なこと
法律家は、法律の勉強をはじめたときの初心が大事なのではないか、と思っています。受験中は、どうしても、周りの人や事件よりも、目の前のテキストに神経がいきがちで(本末転倒)ですが、世の中は広く、人は美しく、自然は輝かしいものです。それを当たり前に感じていたころに抱いた夢や志を忘れないことで、純粋な青臭い法律家になれるのではないかと思っています。
最後に
私は、合格祝賀会での伊藤塾長のお話を聴き、かっこいい、と思いました。いつまでも、素朴な正義感と純粋な感情を持ち続けている弁護士になりたいと思っています。
(2010年11月・記)