基礎マスターの徹底的な復習こそ、新司法試験合格の第一歩です。

J.Tさん(24歳)
 

私立大学法科大学院(既修)修了
◆出身大学/私立大学法学部卒業
◆受 講 講 座/入門講座本科生、判例百選読み込み講義、ケースメソッド論文マスター、出題フレーム体得小教室
 
※プロフィールは、2010年合格時点のものです。


はじめに

私は、人の役に立つ仕事がしたいという、ありがち、かつ、漠然とした理由で法律家を目指しました。伊藤塾に入塾したのは、大学2年の春(20期)でした。大学1年の時は、自由気ままに生きていました。他の受験指導校ではなく伊藤塾を選んだ理由は、司法試験の短期合格者が多いという評判、桜丘の落ち着いた街並みにあります。
新司法試験については、とても多くの情報が錯綜します。この合格体験記が、新司法試験合格を目指す全ての方の道標になればと思います。
 

私がとった勉強方法

基礎的な法知識・法理論の修得について

多くの合格者が、口を揃えて言うことですが、基礎マスターの徹底的な復習こそ、新司法試験合格の第一歩です。 
私は、基礎マスターの予習の段階では、基礎マスターのテキストの項目の色分け・テキストの記述をわかる範囲で理解する努力をしていました。もちろん、予習段階では何がわからないのかもわからないという状態です。しかし、講義を受けていると徐々に疑問点が明確になり、各ユニット終了時には、質問事項がピックアップされている状態になります。もっとも、私はすぐには質問にはいかず、できるだけ自分で理解しようとする努力をしていました。そのため、10時に講義が終わっても、伊藤塾長に質問をしに行くのは10時半すぎでした。その後、伊藤塾長の応答を理解し、整理してから帰るという習慣をつけていたため、伊藤塾を出るのはいつも11時くらいでした。
そして次の講義までに、前の講義で伊藤塾長が記憶するように言った部分について暗記するようにしていました。
寝る前の30分は暗記の時間を確保していました。この時期は、基本を正確に深く理解できるほど頭を使えてはいなかったと思います。しかし、日々の講義や質問で基礎マスターのテキストに残したメモは、新司法試験合格に直結しました。

短答式試験対策について

現在の新司法試験の得点算出方法のもとでは、短答の比率はそれほど大きくありません。また、旧司法試験ほど、短答通過が狭き門とはなっていません。加えて、ロースクール合格後、入学までの期間に、憲法・民法・刑法の新司法試験短答式過去問を解いて分析したところ、旧司法試験の択一知識で十分対応できると考えました。また、ロースクール3年次の夏休みにその年の本試験問題を、時間を計って解いたところ、合格点に達していました。
以上のような背景から、私は短答固有の勉強にはあまり時間を割いていませんでした。もっとも、判例は論文対策として読み込んでいましたし、条文はテキストに出てくるたびに何度でも引くようにしていました。この積み重ねで短答には十分対応できると思います。

論文式試験対策について

論文対策の出発点は、過去問分析です。そこで私は、ロースクール2年次の秋から、週に1問ずつ、過去問を解いていました。そして、ゼミを組んでいた友人と、出題の趣旨、ヒアリング、採点実感、再現答案をもとに、合格要件を抽出し、それを満たすような勉強をするよう心がけていました。出題の趣旨、ヒアリング、採点実感に書かれていることは、全て納得して、理解するよう努力していました。
その上で、再現答案を見て、現実的な解答を確認していました。
その検討を経て、答案の書き方という面で私が特に意識していたことは、①訴訟物・訴因からの思考をアピールすること、②問題提起は事実関係に即してすること、③三段論法を外さないこと、④読み手を意識した日本語を書くことです。以上の点については、自分ではできていると思っても、実はできていないということが多かったので、ゼミで答案をチェックし合う際の中心課題でした。
また、日ごろの勉強方針という面で私が特に意識していたことは、テキストの読み方、すなわち、テキストを読む際に、具体的に答案で書くときのことを考えるということです。例えば、この論点は何の訴訟・訴因のどの要件で問題になるのかといった体系的な問題や、この判例のこの段落はどういう論理なのか、判旨があてはめで挙げているファクターは上位規範の下位規範として使えるのかなどです。
基礎マスターのテキストや基本書、百選などは、多くの受験生が読んでいるはずですが、理解の深さ・正確さに差が生じます。私は、その差は、テキストなどの読み方が確立しているか否かにあると思います。そして、テキストなどに書いてあることを深く正確に理解する読み方を確立するためには、具体的な問題演習を通じて、知識を使うことが必要です。そのうえで、問題演習で引っかかった点をテキストで整理するのです。すなわち、テキストと問題集を行ったり来たりすることで、徐々にテキストなどに書いてあることを深く正確に理解できる読み方が確立すると思います。

直前期の対策について

直前期は、長年連れ添った基礎マスターのテキストや「情報シート」を読んで基本を確認するとともに、インプットに気をとられて頭が固くならないように、1日1通答案を書いていました。
 

伊藤塾の受講スタイルとフォロー制度について

私はライブ講義の通学受講でした。勉強の計画が立てやすく、規則的な勉強ができた点で、意志の弱い私には最適でした。
 

法科大学院での受験対策、伊藤塾の活用

法科大学院では、入学前に伊藤塾で習わなかった要件事実、行政法、選択科目である労働法の勉強に力を入れました。幸い、私の通っていたロースクールでは、この3科目の教員が皆その分野のエキスパートで、教え方も上手だったため、この3科目を学ぶのに苦労は少なかったです。
しかし、この3科目の授業は基本的な法的知識・思考力が備わっていることを前提に、ものすごい勢いで進んでいきました。労働法に関しては途中でリタイアする人もいました。そんな中、最後までくらいつくことができたのは、ロースクール入学前に伊藤塾で徹底的に法的知識・思考力を学んだからであると思います。
 

学習スケジュールの管理について

私は、伊藤塾長がよくおっしゃっているゴールからの発想を元に、しっかり計画をたてて勉強していました。もっとも実現不可能な計画を立てても、追いつかなくなったときに焦るだけなので、緩やかな計画を立てていました。そのうえで、勉強計画を入れない予備日を作っていました。計画より先に進んだら、先手必勝でさらに先に進んだり、気分転換に出かけたりしていました。このような計画をたてていたことで、計画から遅れるということはありませんでした。
 

合格後に必要なこと

感謝の心、謙虚さ、志。この3つを備えた法律家になりたいと思います。
 

最後に

冒頭にも述べましたが、新司法試験については膨大な情報が錯綜します。情報に惑わされず、自分の信じる勉強をしてください。合格者の合格の仕方も十人十色です。たくさんの方のお話を聴いて、自分にあった勉強法を淡々と継続することが大切だと思います。
受験勉強以外放り投げて、勉強ばかりしていた私を支えてくれた家族へ感謝して、この体験記を締めくくりたいと思います。
(2010年11月・記)