基礎マスターで学習をスタートできたことが、その後の勉強の大きな礎になりました。

予備試験ルートで司法試験合格

加藤 和之さん(25歳)
 

合格者イラスト
東京大学法科大学院(既修)修了
 
◆ 出 身 大 学 /早稲田大学法学部
◆ 受 講 講 座 /司法試験入門講座本科生+ リーガルトレーニング、司法試験演習秋生など

※プロフィールは、2013年合格時点のものです。

はじめに

私が法律家を目指したきっかけは、高校のOBの裁判官の方にお会いしたときに、その方の人柄や裁判に対する姿勢に感動し、この方と一緒に仕事がしたいと考えたことにあります。
伊藤塾には、大学2年の春に入塾いたしました。多数の友人が伊藤塾に在籍していたこと、さらに基礎から論文まで充実した講義が受けられそうと感じたことがその理由です。
本来、法律の勉強は範囲も膨大で、受験に必要な知識を見定めるのは困難ですが、伊藤塾の講義や答練では、司法試験合格のために必要な知識や思考をコンパクトに教えていただけるので、情報の取捨選択に迷わずに済み、効率的な対策ができました。

私がとった勉強方法 

基礎マスターの受講

基礎マスターを受講したのは、大学2年の春からです。ずいぶん昔のことで、司法試験には関係ないじゃないかと思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。司法試験においては、それに至るまでの様々な勉強の積み重ねが大きな力を発揮します。学部での勉強、法科大学院入試に向けた勉強、法科大学院での勉強、など、日々の勉強が積み重なって、司法試験合格のための力をつけることができます。
そのような意味では、法律の勉強の初期段階において、基礎マスターを受講したことで、膨大な情報量がある法律の分野において、試験対策上のメリハリを理解することができたことが、その後の勉強の大きな礎になったと考えています。
ですから、ここは試験対策上重要であるとか、ここはAランクとか、そういったことがわからない人は、基礎マスターテキストを利用した講座をぜひ受講してほしいと思います。そのような感覚は司法試験対策において、とても重要になってくるからです。
また、基礎マスターの段階では、受験に必要な知識の8~9割を学ぶことになります。そして、その中でもAやB+の知識の正確性で司法試験の合否が決まります。そこで、重要な論点については、早い段階から①問題の所在、②結論、③理由について、他人に説明できるレベルにすることを目安に復習をするとよいと思います。

論文マスターの受講

論文マスターも、司法試験合格の基礎となったと考えています。論文マスターで扱う問題研究には、旧司法試験や法科大学院の問題が良問を中心に掲載されており、論文問題をあまり解いたことのない段階での実践的訓練としては非常に有用であると思います。この問題研究を、法科大学院入試を目標として、何度も何度も繰り返し解いて、その答案構成が自然と頭に入ってしまうほどやり込むことで、司法試験合格のための基礎体力が身につきました。

法科大学院での勉強

ア. 既修1年目 
法科大学院に合格した後は、既修1年目の段階では、基本的に法科大学院で授業を中心に据えていました。私の出身法科大学院では、司法試験に直結するような授業はしないといわれていますし、実際にも直結するような授業は多くはありません。 ですが、ロースクールの授業は、その法分野の最先端で活躍されている一流の方々が講師となって、指導していただけるまたとない機会です。そして、そのような方々が、有名な判例学説,最新の判例や問題意識などについて言及したことというのは、当然司法試験でも問われる可能性があるわけです。
ここで重要となってくるのが、前述の基礎マスターによるメリハリ付けです。講師の方々の授業は、実務・学問的には非常に重要なのですが、試験対策上は少し難しすぎたり、先端的すぎる場合もあります。そこで、試験で出題される可能性の高い部分はどこなのかについて常に自分でメリハリをつけながら授業を受けることが必要になると思います。そして、これを可能にするのが、基礎マスターなのです。
私自身は、既修1年目は、好きに勉強しようと考えていたので、授業と並行して、様々な論文を読んだり、調査官解説を読みあさったりしていました。それでも2年目から試験対策に切り替えられたのは、前述のようなメリハリを意識していたからだと思います。
イ.既修2年目 
既修2年目からは、司法試験対策を中心に切り替えました。まずは、年内に司法試験の過去問を全て解き終わるように、友人とゼミを組み、週1回のペースで過去問検討を行いました。前述のようにメリハリが重要と言ってきましたが、一番大事なのは、「司法試験での出題可能性」であり、それに応じたメリハリなのです。それを知るためには、まず過去問を解く必要があります。余裕がある方は、既修1年目の段階から過去問を少しずつ検討されると良いと思います。
過去問を検討する際には、単に完全解を求めるのではなく(そもそも完全解など存在するのかという疑問もありますが。)、どうすれば出題の趣旨に書いてあるような事項について気づけたのか、問題文はどのように読めば良かったのか、答案はどのように書くべきか、などに注意する必要があります。科目ごとにある程度の傾向はありますから、それを踏まえたうえで、自分の勉強の方向性を固める必要があります。また、科目ごとに、解く際の注意点をまとめておくと、試験前に焦らなくて済むと思います。
その他には、演習書などを友人とゼミを組みつつ、確認していきました。やはり自主ゼミは一種の強制力としては非常に有用です。ただ、自主ゼミをやる際も、難しい論点について延々と議論し合うのではなく(そういう議論って楽しいんですけどね・笑)、これもメリハリを付けつつ、試験合格のレベルであれば、どこまで書ければ良いのか、などを意識して対策しないと、試験対策という観点からは時間を浪費してしまう危険性があります。
また、演習としては、伊藤塾のペースメーカー論文答練を利用しました。答練の価値は、本試験に近い問題を本試験と同様の時間的状況の下に作成する点にあります。伊藤塾のペースメーカー論文答練は、本試験に近い難しい問題が多く、「わからない、どうしよう」という状態を経験することができ、非常に有用であると思います。

試験直前期

試験直前期(法科大学院卒業後。3月下旬)は、精神的なプレッシャーもあり、さほど勉強できないと考えておく方がよいでしょう。ですので、このタイミングまでに、直前期に見返すべき材料を揃えておく必要があると思います。 私は、既修1年目のときから学校の授業と並行して、まとめノートを作成していたので、直前期についてもこれを参照しました。また、民法については全て作成するのは膨大な労力がかかるため、基礎マスターテキストに加筆していく形をとりました。また、民訴についても同様で、リーガル・ベーシックテキスト(現在は基礎マスターテキストとして統合)に加筆していく形をとりました。両教材ともに、司法試験にも直結する知識が含まれており、直前期に確認すべき教材の基礎としてはとても適していたと思います。
また、全国公開模試なども開催されますから、ぜひこれを受講してください。本試験と全く同じ会場で、同様の日程で模試をこなすことができるため、試験に向けたシミュレーションとして適しています。朝起きる時間、試験場までの交通手段(混み具合も)、周辺のコンビニ事情、会場の広さ、トイレの数、などチェックすべきポイントは山ほどあります。私は実際にホテルに泊まって、そこから模試の会場まで移動していました(笑)。これもシミュレーションのひとつだと思います。

試験当日

試験当日は、会場近くのホテルに宿泊しました。自宅がかなり遠いところにあったこと、当日の電車の事故などのリスクが怖かったことが理由です。実際にも、今年の試験初日には電車が止まったそうです。この辺りのリスク管理はしっかりやっておく必要があると思います。
また、私はすぐ緊張するタイプなので、試験中頭が真っ白にあることも多々ありました。ですが、そのときは、一度問題用紙から目を離し、基本的な理解を示せば何とかなると自分に言い聞かせ、書き切りました。書き切れば何とかなると思います。

最後に 

合格した勝因は、自分を信じてかつ楽しんで日々淡々と法律の勉強を続けたことにあると思います。合格するための素材は伊藤塾でそろっているのですから、あとはそれを自分のものにするだけです。
また、司法試験の受験は金銭的にも精神的にも大変なものでしたが、それを支えてくれた家族や友人に感謝したいと思います。自分のおかれた環境の良さに感謝をしなければならないと思っています。
これから受験される方も、ぜひ法律を楽しんで勉強してください。そうすればおのずと結果はついてくると思います。