はじめに

私は文科一類で入学しましたが、入学当初は文学部や後期教養学部への進学を考えており、法学の勉強をするつもりはありませんでした。しかし、大学2年時の進学振り分けで悩んだ末に法学部を選択し、「どちらにせよ法学を勉強することになるのなら、資格を取れるくらいきちんと勉強しよう」と考えるに至りました。家族に資格職（医師、歯科医師）が多く、資格職に対する漠然とした憧れがあったことも、司法試験を目指した大きな理由だろうと思います。伊藤塾に入塾したのは大学2年生の春です。入塾当初は、進学振り分け以前に始まってしまう法学部講義へのセイフティネットにしようくらいの気持ちでした(笑)。進学振り分け後に上記のような心境の変化があり、大学3年生になる直前に、ようやく本格的に勉強を始めました。

私の勉強法

〈基礎学習について〉

上記の「はじめに」からおわかりかと思いますが、私は入塾後、勉強に身が入らない期間が1年弱（大学2年生の4月～翌年3月）ありました。さあ勉強しようと思い立った3月の時点で、基礎マスターが350コマほど溜まっていてぞっとした記憶があります(笑)。5月の短答式試験に間に合うように、2倍速で1日20コマほどのペースで講義を聴きました。大変過ぎて人には全くすすめられない方法ですが、他方で基礎マスターは非常にボリュームの大きい教材なので、「限られた時間で、とにかく全体像をつかもう」という取り組み方ができたのは案外良かったのではないかとも思っています。
 
論文マスターは、何周したかわからないほど繰り返しました。規範の使い方や論点の存在意義など、インプット（基礎マスター）の段階ではつかめていなかったものが、アウトプット（論文マスター）の段階になって初めて理解できるようになりました。論文マスターは、最初は全く歯が立たず苦しい教材だと思いますが、予備試験・司法試験を受験するにあたって一番重要な教材ではないかと思っています（私自身、予備合格者の先輩に「論文マスターは問題番号まで暗記するくらい繰り返すんだよ」と言われました。）。 

司法試験に向けた学習について

〈司法試験論文過去問マスターを受講して〉

 私は司法試験学習に着手したのが遅く（2020年3月）、時間が足りていない自覚があったので、司法試験過去問は最新8年分のみ取り組みました。本番と同じ時間で答案構成をし、模範解答と大きく差がなかった科目については、模範解答を読みピンポイントで知識を確認するにとどめ（約1時間／1年分）、他方大きく差が出てしまった科目については、出題趣旨・採点実感を熟読し、間違えたときの思考プロセスとその改善策をメモにまとめました（約6～7時間／1年分）。このように、科目の出来に応じて勉強の仕方にメリハリをつけたことは、非常に有効だったと思います。司法試験論文過去問マスターは、模範解答・再現答案が非常に参考になること、出題趣旨・採点実感までセットになっていることの2点で有用な教材でした。

〈短答式全国実力確認テストや全国統一模試を受講して〉

全国統一模試は、①本番通りのタイムスケジュールで答案を書く（ほぼ唯一の）練習になる、②全国の受験者の中での自分の立ち位置がわかるという2点で、非常に役立ちました。①については、5日間に及ぶ試験の疲労感や論文試験の時間のタイトさなどを危機感を持って実感しているか否かが、本番でも大きな差になると感じました。  

〈司法試験対策に必要となる勉強について〉

前記に記載した通り、現在の自分の各科目の出来に応じて、メリハリのある勉強をすることが大切だと考えます。司法試験は各科目に足切りがあるので、全体をバランスよく底上げしていくイメージです。また、司法試験においては、インプット（法律的知識の精度と量）はもちろんある程度は必要ですが、それ以上にアウトプット（答案）の見せ方に注意を払うべきかもしれません。具体的には、「聞かれたことに1つずつ答える（逆に聞かれてもいないことを長々書かない）」、「思考過程を見せる（結論はどちらでもよいのかもしれない、問題に気づいたことさえアピールできればよいのかもしれない）」といった点です。 

おわりに

 伊藤塾を利用して最もよかった点は、予備試験・司法試験に合格している先輩や友人が伊藤塾にたくさん在籍していたことです。予備試験・司法試験は合格までの道のりが長く、勉強方法も人によって本当に様々です。そんな中、たくさんの合格者、つまり同じ悩みや苦しみを経験した人に相談し気持ちを共有できたこと、多様な勉強方法を提案してもらえたことは、合格するためにとても重要なことでした。お世話になった多くの先輩方や友人の皆さま、そして私の一番の指導教官とも言える彼氏さんに、この場を借りて御礼申し上げます。