タグ:3月

2026年

第368回 氷上の金メダルと憲法13条

受験生の皆さんの中には、「オリンピックなど見ている暇はない」と思っている方も多いかもしれません。もちろん、いま最優先すべきは目の前の勉強です。しかし、ときにスポーツの世界が、私たちに憲法の核心を照らし出してくれることがあります。

ミラノ・コルティナ冬期オリンピックで金メダルを獲得したアリサ・リュウ選...

2026.03.01

2025年

第356回 トランプスタイル

2025年2月27日までは、トランプ大統領とゼレンスキー大統領はウクライナ国内の鉱物資源の権益をめぐる合意文書に署名する見通しでした。トランプ大統領は、合意によってウクライナのレアアースなどの鉱物資源や石油、ガスの開発にアメリカが関わる経済的メリットから「歴史的な合意だ」とその意義を強調していました。その上で「われわれが次にとりかかるのは停戦の実現だ。それが速やかに実現することを願っている」と述べ、ウクライナでの早期の停戦の実現に意欲を示していたのです。

ところが、28日にホワイトハウスで行われた両首脳の会談は、冒頭は和やか...

2025.03.04

2024年

第344回 岡口弾劾裁判

 2月27日、岡口基一裁判官の弾劾裁判の公判が終結しました。弁護側の最終意見として90分ほど最終意見陳述をしたのですが、そこで私は40分の総論と最後のまとめを陳述しました。陳述内容については、訴追側の最終意見への反論を中心に弁護団で議論して練り上げて作成しました。

 裁判官訴追委員会によって裁判官弾劾裁判所に対し、岡口裁判官が訴追され...

2024.03.01

2023年

第332回 失敗の原因

 前回の雑感で紹介したフジテレビ系列で放送中の『女神(テミス)の教室』ですが、もうそろそろ終盤にさしかかってきました。毎回ドラマならではの突っ込みどころが満載で伊関先生とのトークも盛り上がり、YouTube用ですからコンパクトにまとめようとするのですが、つい話し過ぎてしまいます。

 このドラマに登場する先生方はずいぶんとキャラが立っている個性的な方々...

2023.03.01

2022年

第320回 戦争と平和

今回は、憲法53条訴訟や岡口裁判官の弾劾裁判について書こうと思っていたのですが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってしまったので、急遽テーマを変更します。

国連憲章2条4項は、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力によ...

2022.03.01

2021年

第308回 官僚の矜持

オリンピック開催の是非や緊急事態宣言、ワクチン接種などのコロナ対策で大変なときに、政治部門では総務省幹部の接待問題でまたひと騒動起こっています。前回の雑感で、政治部門は民意の反映と透明性、説明責任を果たせず、その権威を失ってしまったと書きましたが、政治家のみならず、官僚までもが、まさかの時代遅れの接待疑惑で信頼を失いつつあります。

総務省幹部が菅義偉首相の長男正剛氏が役員を務める東北新社から接待を受け...

2021.03.01

2020年

第295回 コロナ

新型コロナウイルスへの対応で社会は混乱を極めています。時差通勤やテレワーク、世界経済の悪化、オリンピックを始め各種イベントへの影響、学校の休校をはじめとする行動制限などが話題になり、政府の対応や具体策の欠如などが批判されています。

政府による感染症対策の遅れや思いつきとしかいえない対応も、何が国民にと...

2020.03.03

2019年

第283回 沖縄の民意

2月24日に行われた沖縄県民投票では辺野古の新基地建設のための埋め立てへの反対が多数となりました。投票率は52.48%でその7割を超える43万人が反対、賛成は11万票で反対が大きく上回りました。私は、ここに沖縄県民の民意が再度明確に現れたと考えるのですが、新聞各紙によってこの県民投票の評価は分かれました。

25日朝刊の見出しでは、「辺野古「反対」72%」(朝日新聞)、「辺野古...

2019.03.01

2018年

第271回 北東アジア

平昌オリンピックが終わりました。国単位でメダルを競うことはオリンピック憲章の趣旨に反するのですが、メダルの数で盛り上がる報道もありました。北朝鮮に南北対話を持ち掛けられて応じるなんて日米韓の協調を壊すものだと批判する声も聞かれ、競技外の話題にも事欠かなかったオリンピックでした。

確かに北東アジアには、いくつもの緊張の種が存在します。①冷戦時代の分断...

2018.03.01

2017年

第259回 家族と立憲主義

先月は、びっくりするような報道がいくつかありました。1つは、幼稚園児に教育勅語を暗唱させ、運動会の選手宣誓で「安倍首相頑張れ、安保法制国会通過よかったです」といわせる森友学園の話題です。用地取得に関する問題もさることながら、こうした教育を支持する親が少なからずいるということにも驚きました。

2006年、第1次安倍内閣のときに教育基本法が改正され、家庭教育の項目...

2017.03.01

2016年

第247回 不安に克つ

予定されている安保法制の施行に先立ち、官邸から、緊急権条項を憲法の明文に加える改憲の動きが出てきています。大災害の不安、周辺諸国からの侵略の不安、テロの不安を指摘しながら、憲法に緊急権条項は必要だというのです。確かに私たちは常に不安と隣り合わせで日々を過ごしています。突然の交通事故や自然災害の被害に遭うかもしれません。不安です。こんなに必死に勉強しても必ず合格する保障などないのですから、勉強を始めること自体不安です。

しかし、「不安」は人の心理に依拠した主観的な概念であり、現実ではありま...

2016.03.01

2015年

第235回 難民

皆さんは難民という言葉から何を想像しますか。1951年に採択された難民条約に日本も1981年に加入しています。この条約の1条では難民を、「人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会的集団に属することを理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」と定義しています。定義の中核である「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖」の認定はとても難しいものですが、適正な認定基準の確立が必要です。

第2次世界大戦後、国際的な人権保障制度を整備していく中で、この難民条約...

2015.03.05

2014年

第223回 オリンピック

オリンピックに出場するレベルのアスリートを見ているとどうしても求道者を見ているような気になってしまいます。スポーツなのだからもっと楽しめばいいのでしょうが、つい受験生と重ねて見てしまうのです。私たちがこうした超一流の人たちから学べることは本当に多いことに改めて驚きます。今更いうようなことでもないのですが、思いつくままに書き出してみます。

続ける力、集中力、最後まで絶対に諦めない、セルフコントロール、感謝の気...

2014.03.03

2013年

第211回 キャリアと憲法

先月の東京新聞に「東大法学部の人気低下?」という記事が載っていました。法学部に進学することが予定されている文科一類の志願者が昨年より3割も減少したそうです。教養学部3年生の次のようなコメントが載っていました。「官僚は仕事が大変なのに世間から批判を浴びてばかり。天下りできなければ給与も低い。司法試験も大卒後、さらに法科大学院で3年間勉強しなくてはいけない。法学部の人気が下がっているのは確かです」

この時期だからこそ、官僚はやりがいのある仕事なのですし、中央のみならず...

2013.03.04

2012年

第199回 震災と憲法

先月、うれしいことがありました。ベトナムで数人の教え子たちと会うことができました。特にビジネスの世界で成功している教え子に会えたことは、大きな喜びでした。

彼は私が19年前に書いた「やればできる、必ずできる。」という色紙を今も...

2012.03.01