カテゴリー:2025年

2025年

第365回 台湾有事と立憲主義

 近時、高市首相によるいわゆる「台湾有事」に関する発言をめぐり、日中関係が多方面で緊張を高めています。報道を目にするたび、私は「あらためて憲法と国際法の基本から考える必要がある」と痛感しています。政治家の発言はしばしば外交的メッセージを持ちますが、特に軍事にかかわる発言は相手国の反応を踏まえた慎重さが求められます。今回の問題は、まさにその典型例であるといえるでしょう。

 2025年11月7日の衆議院予算委員会において、高市首相は台湾有事に...

2025.12.01

2025年

第364回 スパイ防止法と立憲主義

自民党と日本維新の会による新しい連立政権が発足しました。その政策合意書の中には、「インテリジェンス政策」という新しい言葉が記されています。国家情報局の設立や長官ポストの新設、さらには対外情報庁の創設など、日本のインテリジェンス体制を抜本的に強化しようという構想が掲げられています。加えて、スパイ防止法の制定や、情報要員の養成機関の設置も検討項目として挙げられています。

インテリジェンス活動は大きく「諜報(情報収集)」「防諜(情報防衛)」「...

2025.11.01

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第363回 国際標準と独自性

メディアでは連日、自民党総裁選挙の様子が報じられています。この結果が日本の総理大臣という行政のトップを決めることになるのですから、メディアが強い関心を寄せるのは当然です。しかし、先の参議院選挙における自民党の得票率は21%にすぎません。有権者の21%が支持した政党の内部の議論だけで、日本の総理大臣が事実上決められてしまうのです。

国会において総理大臣を指名するとき、すべての国会議員は同じ1票を持って...

2025.10.01

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第362回 自衛官の人権

先月も集中豪雨などで全国に大きな被害がありました。1923年9月1日に関東大震災を経験した日本では、9月は防災を考える時期でもあります。日本は地震、台風、豪雨、火山噴火など、世界的に見ても自然災害が多発する国です。そのため、災害発生時には迅速かつ組織的な対応が求められます。その中で大きな役割を果たしているのが自衛隊の災害派遣です。

自衛隊法第83条に基づき、都道府県知事などの要請を受けて行われる災害派...

2025.09.01

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第361回 異質な他者との共存

参政党の新日本憲法が憲法学者の間でも話題になっています。起草者によると創憲案とのことですが、現行憲法96条の手続を経なければ憲法としての正統性は与えられませんので、法的には改憲案という位置づけになります。この改憲案と現行憲法との違いを確認することで、日本国憲法の本質をより明確に知ることができます。

私がこの改憲案を見たときの第一印象は、天皇を中心とした日本人ファースト...

2025.08.01

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第360回 緊張を力に

試験が近づくと、どうしても緊張や不安で勉強が手につかなくなるものです。では、日頃の勉強の成果を本番で十分に発揮するにはどうすればいいのでしょうか。スポーツ選手やアーティスト、実務家にとっても、大舞台での緊張をどうコントロールするかは重要な課題です。

緊張は決して悪いものではありません。適度な緊張はパフォーマンスを高める...

2025.07.03

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第359回 ベトナム

久しぶりに渋谷の人気ベトナム料理店「ハノイのホイさん」(以下、ホイさんといいます)でランチしました。自分の店を人気店というのも少し気が引けますが、テレビで紹介されたことも何度かありますし、コロナを乗り越えながらここ桜丘町で14年目を迎えることができました。地元のフリーペーパー「桜丘マップ」でも、私が30年通っている美容室「ボアソルテ」の店長さん(私と同い年だけどすごく若い)が仕事終わりにご飯を食べる場所として紹介してもらっています。

この「ハノイのホイさん」という店名は、ベトナムに仕事や社員研修などで訪...

2025.06.02

2025年

第358回 伊藤塾創立30周年

2025年5月3日で伊藤塾創立30周年を迎えます。憲法記念日に合わせて1995年に会社を設立し「伊藤真の司法試験塾」として真の法律家の育成を始めました。今回は少しだけ伊藤塾の歩みを振り返ってみることにします。当時の受験生は、独学で基本書を読み込んだ後に中央大学真法会の答練を受けるか、司法試験3大予備校と言われていたLEC東京リーガルマインド、早稲田司法試験セミナー、辰巳法律研究所などを利用していました。そこに弱小後発組として参入するのですから、設立当初から既存の他校との差別化は不可欠でした。

「やればできる、必ずできる」「合格後を考える」、「ゴールからの発想(逆...

2025.05.01

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第357回 桜と多様性

東京近郊の自然の中でこれを書いています。先ほどまで渋谷伊藤塾近くにある高層ビル・サクラステージ内のカフェで塾前の桜並木を見ながら書いていたのですが、気の置けない講師仲間の数人とちょっとした気分転換に来ています。自然の中にいると無数の多様な命に生かされていることを実感します。里山の桜もいいのですが、私にとって桜丘の桜はやはり特別です。

昨年まで桜色の提灯が桜坂入り口に並んでいたのですが、その前で写真を撮る...

2025.04.08

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第356回 トランプスタイル

2025年2月27日までは、トランプ大統領とゼレンスキー大統領はウクライナ国内の鉱物資源の権益をめぐる合意文書に署名する見通しでした。トランプ大統領は、合意によってウクライナのレアアースなどの鉱物資源や石油、ガスの開発にアメリカが関わる経済的メリットから「歴史的な合意だ」とその意義を強調していました。その上で「われわれが次にとりかかるのは停戦の実現だ。それが速やかに実現することを願っている」と述べ、ウクライナでの早期の停戦の実現に意欲を示していたのです。

ところが、28日にホワイトハウスで行われた両首脳の会談は、冒頭は和やか...

2025.03.04

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第355回 ビジネスと人権

元タレントの中居正広氏と女性とのトラブルを巡ってフジテレビが10時間以上にわたる記者会見を開きました。冒頭にフジテレビ会長が「人権に対する意識の不足から、十分なケアができなかった当事者の女性に対し、心からお詫びを申し上げたい」と謝罪し、今回の事件について「人権侵害が行われた可能性のある事案」と説明がなされました。

フジテレビを巡る一連の問題について経団連の十倉会長も、「日本のような世...

2025.02.03

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第354回 謹賀新年 伊藤塾30周年

 今年2025年、伊藤塾は創立30周年を迎えます。1995年にこの塾を立ち上げて、多くの受験生の支持を得てここまで続けてくることができました。法曹や士業の道に進み各分野で活躍している塾生、公務員や民間企業などそれぞれの舞台で活躍している塾生、各人の人生を懸命に生きている多くの塾生のおかげで、30年も続けることができました。心から感謝します。

 思えば、1981年に司法試験に合格してから受験指導を続けてきましたが...

2025.01.01