タグ:6月

2026年

第371回 未完のプロジェクト

2026年4月28日、イギリスのチャールズ3世国王はアメリカ連邦議会で歴史的な演説を行いました。トランプ政権下のアメリカで、「力による支配」がまかり通ろうとしている中、旧約聖書を引用しながら、「くわを剣に打ち直さないよう願う」と述べ、戦争の拡大に警鐘を鳴らしました。そして、民主主義と議会政治の価値を静かに、しかし力強く訴えたのです。

国王がとりわけ力を込めたのは、1215年のマグナ・カルタ、大憲章への言...

2026.06.01

2025年

第359回 ベトナム

久しぶりに渋谷の人気ベトナム料理店「ハノイのホイさん」(以下、ホイさんといいます)でランチしました。自分の店を人気店というのも少し気が引けますが、テレビで紹介されたことも何度かありますし、コロナを乗り越えながらここ桜丘町で14年目を迎えることができました。地元のフリーペーパー「桜丘マップ」でも、私が30年通っている美容室「ボアソルテ」の店長さん(私と同い年だけどすごく若い)が仕事終わりにご飯を食べる場所として紹介してもらっています。

この「ハノイのホイさん」という店名は、ベトナムに仕事や社員研修などで訪...

2025.06.02

2024年

第347回 軍事化とジェンダー

 弁護士仲間の間でNHKの朝ドラ「虎に翼」が話題です。日本で初めての女性弁護士であり初の女性裁判官となった三淵嘉子さんがモデルで、戦前の女性蔑視の時代を乗り越えて、日本国憲法14条の下で民法の親族相続編の改正作業にも尽力されました。非嫡出子の相続分、女性の再婚禁止期間、夫婦同姓強制など問題ある規定もありましたが、1条の2に「本法ハ個人ノ尊厳ト両性ノ本質的平等トヲ旨トシテ之ヲ解釈スベシ」(現2条)という条文が追加され、憲法13条、14条、24条が民法において具体化されたことは画期的なことでした。

 現在では世界の法律家の中で女性の活躍も目覚ましいですが、1950年代...

2024.06.01

2023年

第335回 最後の一線

 先月アメリカで発売された雑誌『TIME』の表紙を岸田首相が飾りました。ギャングのボスのようなすごみがありましたが、本人が選んだ写真なのでしょうか。そのキャプションとして、「日本の選択:岸田首相は数十年にわたる日本の平和主義を捨てて彼の国を真の軍事大国にしようとしている」(JAPAN’S CHOICE Prime minister Fumio Kishida wants to abandon decades of pacifism-and make his country a true military power)と書かれていました。

 これに外務省がクレームをつけ、電子版では「かつて平和主義であった日本...

2023.06.01

2022年

第323回 マイ・プリンシプル

自分の考えを書いたり講演したりしていると、批判を受けることが多々あります。法科大学院制度ができるころもずいぶんと批判されました。塾では暗記や受験テクニックばかりの詰め込みがなされていて、まともな法曹が育たないと、司法試験を受けたこともなく現場を知らない大学教授から批判されたものです。

ですが、そのように批判された塾の指導によって合格した皆さんが実務の現場...

2022.06.01

2021年

第311回 憲法改正手続法

国会では憲法改正手続法の改正案が審議されています。2016年の公職選挙法の改正に伴い導入された投票環境向上のための7項目の規定を憲法改正の場面でも適用できるように整備するものです。駅や商業施設などに「共通投票所」を設置して投票しやすくすることが柱となっています。これ自体は良いことのように思われるかもしれませんが、改憲手続に関する根本的な問題が解決されていません。このまま改憲手続が整備されたとして、改憲発議が強行されたりすると重大な憲法問題が生じることになります。

日弁連もこの問題に関しては、有料広告規制や最低投票率等について、200...

2021.06.02

2020年

第299回 SNSの功罪

文春砲(週刊誌のスクープ)による幕引きは意外でした。 ですが法律を学ぶ者としては、賭け麻雀に惑わされずに、検察が行政権であるにもかかわらず、その機能が司法権に準じるという意味をしっかり理解することが重要です。裁判所は裁判によって判断するのですが、刑事事件においては判断対象を提供するのは検察です。検察が起訴しなければどんなに裁判所が判断したくても、裁判所は司法権を行使できません。ですから検察官による起訴は、刑事事件については司法権にとって不可欠の前提なのです。

ついでにいうと、弁護士が被告人を弁護することで、被告人は検察と対等な立...

2020.06.05

2019年

第286回 公益

旧優生保護法の下で不妊手術を強制された原告らが国家賠償を求めた訴訟で、仙台地裁は5月28日に、この法律は幸福追求権などを規定した憲法13条に違反し無効と判断したのですが、国賠請求については20年の除斥期間経過を理由に請求棄却しました。全国で提訴されている同種事件の最初の判決です。

子どもを産み育てることを自己決定する権利(リプロダクティブ権)は憲法1...

2019.06.03

2018年

第274回 手続的正義

国家公務員試験、司法試験は終わり、これから司法書士試験、予備試験論文、行政書士試験が行われていきます。各種試験において実力者が合格するのであれば、試験の公正な手続きなどどうでもいいと思う人はいないでしょう。誰が合格すべき実力者かわからないからこそ試験という適正な手続きが必要となるからです。

最近、いつまで「モリカケ」(森友・加計学園)問題で騒いでいるんだ、とい...

2018.06.01

2017年

第262回 自衛隊と憲法

憲法施行70年の5月3日に、安倍首相は自民党総裁という立場で、2020年に新しい憲法を施行するので自衛隊を憲法に明記する改憲を進めることを宣言しました。オリンピックとは何の関係もありませんが、オリンピックを共謀罪の口実にするなどの政治利用をしてきた首相ですから、その点はあまり驚きませんでした。

ただ、「自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、『自衛隊が違憲かもし...

2017.06.01

2016年

第250回 憲法と政治

皆さんに一冊の本を紹介したいと思います。学習院大学の青井未帆教授が著した「憲法と政治」(岩波新書)です。毎日のように憲法関連の書籍に目を通しているとある種の慣れに感覚が麻痺してくることがあります。この本はそんな私の心を揺さぶり、改めて憲法と共に前に進む勇気を与えてくれました。

具体的な資料と根拠を示しながら、「政治が憲法を乗り越えんとするかのよう...

2016.06.03

2015年

第238回 想像力

法律家や公務員をめざす者が、勉強以外にどうしても鍛えなければならないことがあります。想像力、共感力です。憲法は1人1人が個人として尊重される社会をめざします。その中で専門知識という強い力をもって仕事をする法律家、公務員は常に具体的な人間として個人を見ることができるように、自身の想像力を鍛えて、相手の立場に立ってものを考えることができるように共感力を磨いていかなければなりません。

法律は理性の世界ですが、実は感性が重要です。講義でも具体例をイメージで...

2015.06.01

2014年

第226回 価値基準

経済的自由よりも精神的自由や人格的生存に不可欠な人権を優先する。国民の生命・健康に関する危険を防止するために加えられる消極目的規制については、社会・経済政策の一環としてとられる積極目的規制よりも、厳格に審査されなければならない。こうした考えは憲法を少しでも勉強したことのある人間なら当然の部類に属することです。憲法には価値の序列があり、個人の尊重に直結する人格権が経済的自由に優先することもまた、理解しやすいことです。

2014年5月22日福井地裁で、大飯原発運転差し止めが認められました。...

2014.06.04

2013年

第214回 憲法25条

憲法は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定します。自民党改憲案はこの25条の前に、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。」という規定を置こうとしています。家族が尊重されなければならないことは、道徳、倫理の話であって、憲法に規定して国民に押しつけるようなものではありません。個人の尊重を否定し個人よりも集団、戦前のような「家制度」を大切にしたいという発想が透けて見えます。

家族に国が口を出すことになると、推奨するモデル家族のようなものが国によ...

2013.06.04

2012年

第202回 試験の前後

先日、司法試験を終えたある塾生の話を聞きました。彼は試験後、すぐに英語の勉強を始めたそうです。合格後の目標に向かって新たな努力を始めているのです。もちろん、試験の合否はわかりません。失敗した科目もあるようです。しかし、そんなことは関係ありません。重要なことは自分の夢に向かって、努力し続ける姿勢です。仮に試験の結果が不本意に終わったとしても、こうして努力し続ける姿勢を持った人は必ず成功します。

5月から6月にかけては試験ラッシュです。司法試験、予備試験、適性試験、...

2012.06.02